2022年は「スタートアップ創出元年」 シード・アーリーが日本経済の新たなけん引役に

    デロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを東京・大手町で開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげることを狙いとしています。

    モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回は「シード・アーリーベンチャー」です。

    2021年度上半期の起業件数は過去最高

    スタートアップの資金調達ラウンドは相場が低い方から順に、プレシード、シード、シリーズA(アーリーステージ)、シリーズB(ミドルステージ)、シリーズC(レイターステージ)・後といった形で推移していきます。Morning Pitchには、事業拡大するための資金を集めるラウンドで、従業員や顧客の数が急激に増える時期に相当するシリーズA以降のベンチャーが主に登壇します。

    DTVSでは「Meetup Session(ミートアップ セッション)」というMorning Pitchとは異なるプラットフォームを運営していますが、それに参加するのはシリーズAの前段階にあるシード期のベンチャーが主体です。シード期は試作品を作りながら、市場ニーズに合うように検証を進めている時期です。

    日本は欧米に比べてスタートアップが育ちにくいと指摘されています。ベンチャーキャピタル(VC)に投資する機関投資家が少なく、VCの投資額や規模が小さいといった点が主な理由です。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を契機として新たな商機をとらえようと起業熱は高まっています。2021年度上半期(4~9月)の起業件数は約6万6500で半期ベースでは過去最高となりました。シード期の起業を取り巻く環境が盛り上がっている要因は

    1.資金調達環境の大幅な改善 2.行政からの支援施策の増加 3.アクセラレーターなどスタートアップの支援プレイヤーが増加 4.オンライン化による新しいビジネスチャンスの出現―です。

    シード期をターゲットとするVCが大型化

    実際、2021年のスタートアップ全体の資金調達額は、年間ベースで過去最高となりました。また、政府は2022年をスタートアップ創出元年と位置付けており、リスクマネー供給の強化や株式公開制度の在り方などの見直しに取り組んでいきます。

    こうした流れに後押しされる形でシード期のスタートアップを対象とするVCが増え、大型化が進んでいます。Coral Capitalは2021年8月に140億円の3号ファンド、ジェネシア・ベンチャーズは今年1月に100億円の3号ファンドをそれぞれ設立しました。

    ただ、シード期の起業家はピッチで発信するものの、聴講者からフィードバックを得る機会になかなか恵まれません。結果として、具体的なアクションに結び付くケースも少ないのが実態です。一方、大企業やVC側もベンチャー発掘の競争が激化しており、スタートアップと早い段階から関係を構築する手段が不足しています。こうした双方の課題を踏まえて開催しているのがMeetup Sessionです。


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