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電動キックボードシェアは大競争時代へ 28歳の“理論派”起業家が描く「勝算」

街中に多数の電動キックボードを配置して気軽に乗り降りできるようにするシェアリングサービスで「大競争時代」の幕開けが近づいている。政府は昨年12月、道路交通法を改正する方針を提示。時速20キロ以下の電動キックボードなら免許やヘルメットがなくても利用できるようにする方向だ。法改正が実現すれば、使いやすいシェアサービスを導入しやすくなり、企業の参入が加速するとみられている。現在、全国各地で特例事業として行われているシェアサービスの先頭を走り続け、2月15日に電動キックボードの新モデルも発表した「Luup」(東京都渋谷区)の岡井大輝社長(28)に、勝算とマイクロモビリティの未来について聞いた。

電動キックボードの大競争時代が始まろうとしている(Getty Images)※写真はイメージです
電動キックボードの大競争時代が始まろうとしている(Getty Images)※写真はイメージです

■勝ち抜きに自信

「外資や資本力がある国内の巨人が参入してくることは元から(シナリオとして)検討していた」。岡井氏はSankeiBizのインタビューに対し、来るべき乱世を勝ち抜く自信をのぞかせた。

大競争時代の号砲が鳴ったのは昨年12月。警察庁の有識者会議が電動キックボードをより乗りやすくする規制緩和の方針を示し、道交法の改正が本格的に動き出した。政府はこれまでLuupなど8つの事業者に特例事業として、「免許有り」「ヘルメットなし」で乗ることができるサービス展開を認めてきた。法改正後は免許も不要とする方向で、より使いやすいサービスが特例事業の認定を受けなくても導入できる公算が大きい。

岡井氏は東京大学農学部卒業後、戦略系コンサルティングファーム勤務を経て、2018年7月にLuupを創業。特例事業では8社の中で断トツの約48万キロの利用実績を積み、業界をリードしてきた。

しかし、独走状態が今後も続くとは限らない。昨年10月には世界300都市以上でサービスを手掛ける米バード社の日本での展開を担う「BRJ」(港区)が特例事業の認定を受け、東京都立川市でサービスを開始。国内通信各社などもモビリティ事業に力を入れ、電動キックボードシェアを手掛ける海外企業にも出資してきた。法改正が現実味を帯びたことで、岡井氏が話す通りの展開が近づいているといえる。

■ポート密度、オペレーションに強み

それでも岡井氏が自信を崩さない理由のひとつは先行者としてのメリットがあるからだ。Luupはすでに東京都内を中心に約850のポート(シェア用の電動キックボードの置き場)を確保。このポート密度でのリードが利便性の差別化に大きく貢献するとみている。乗りたいと思った場所の近くにポートがあり、降りたいと思った場所の近くにポートがないと、電動キックボードのありがたみは半減するからだ。

岡井氏は「ひとつの地域にポートが30カ所ある会社と90カ所ある会社では、利便性の差は3倍ではなくて9倍になる。ポートの密度で少しでも差をつければ、利便性で圧倒的な差をつけることができる」と話す。そしてキックボードのポートは物理的な場所をとるため、後発企業がポートの獲得競争で逆転を図ることは容易ではないという。「決済系のサービスであれば、レジの横にQRコードを掲示してもらえればサービス網を拡大できる。でも電動キックボードではそうはいかない」との分析だ。

また、特例事業の経験で磨きあげたオペレーションも強みだ。電動キックボードのシェア事業では、夜間にスタッフがポートを回り、車両のバッテリーを交換する作業が不可欠。しかし岡井氏は「すべてのポートに人を出せば(コストがかかりすぎて)、絶対に利益は出ない」と断言する。

それでもLuupが採算性を見込むのは、積み重ねた利用実績のビッグデータから今後の需要を正確に予測し、バッテリー交換が必要なポートを厳選して作業を行っているからだ。「Luupにはデータサイエンティストも数多く在籍している。電動キックボードのシェア事業はソフトウェアも重要になるサービスだ」という。

■若者も高齢者も乗れる未来のマイクロモビリティも構想

一方、法改正が実現すれば、特例事業の認定を受けなくても参入可能な地域が全国に広がる。現在の特例事業地域は東京、神奈川、千葉といった首都圏に加え、大阪、京都、福岡といった大都市が中心だが、今後は車を運転できない高齢者の交通難や、観光客の移動手段確保といった問題を抱える地方都市でも、サービス展開が加速するとみられる。岡井氏は「都市部での展開に次ぐ第2ステップ。これこそがLuupがもともとやりたかったことだ」として、準備万端であることを強調する。


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