「一票の格差」が最大2・08倍だった令和3年10月の衆院選は憲法違反だとして、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分5県の有権者が選挙無効を求めた訴訟の判決で、福岡高裁は21日、「違憲状態」との判断を示した。無効請求は棄却した。原告側は即日上告した。
弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした訴訟の一つ。原告側は「一人一票の投票価値の平等に違反し、無効だ」と主張していた。
岩坪朗彦裁判長は、格差が2倍以上の選挙区が全国に29あったとし「憲法の投票価値平等の要求に反する状態と言わざるを得ない」と指摘。その上で、国勢調査の速報値が公表され、最大格差が2倍を超える見込みだと判明したのが投票日の約4カ月前で「選挙までに是正することは事実上不可能だった」と説明。格差是正に向けた国会の取り組みは不相当とは言えず、区割りは違憲でないと結論付けた。