• 日経平均27049.47178.20
  • ドル円136.35136.38

そもそも説明できる? 低所得ほど打撃を受ける…解説「インフレで得する人、損する人」

PRESIDENT Online

インフレで得する人と損する人は誰なのか。アメリカで高校生に経済学を教えるデーヴィッド・A・メイヤーさんは「インフレで得する人よりも損する人のほうが多い。特に低所得の人ほど打撃を受ける」という--。※本稿は、デーヴィッド・A・メイヤー『アメリカの高校生が学んでいる経済の教室』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです 写真=iStock.com/urbazon
※写真はイメージです 写真=iStock.com/urbazon

インフレとは物価が上昇し、通貨の購買力が下がること

インフレは「勝者」と「敗者」を生む。インフレで誰が勝つのかを知っておくことは、インフレが許容されることもある理由を理解するうえで大切なことだ。インフレが予想の範囲内であり、安定しているなら、それは良性のインフレだ。個人も組織も、将来のインフレに備えて計画を立てることができる。しかし、予想を超えたインフレになると、そこには勝者と敗者が生まれる。どんな人がインフレで得をするのだろう?

インフレで得する人について考える前に、そもそもインフレとは何かということを復習しておこう。インフレとは、物価が上昇し、それに対応して通貨の購買力が下がることだ。借金をしている人は、物価の上昇と購買力の低下から恩恵を受ける。

個人、ビジネス、政府は、たいてい固定金利でお金を借りる。固定金利とは完済するまでずっと利率が変わらない金利のことだ。その利率にはあらかじめインフレ分が織り込まれている。実際のインフレ率がその予想よりも高くなれば、実質の借金額は減ることになるのだ。

 たとえば、銀行が5%の名目金利で数十億ドルを貸し出していたとしよう。銀行は2%のインフレ率を予想していたが、実際には4%になった。すると借り手にとっては、実質金利が3%(5%-2%)から1%(5%-4%)に下がる。簡単に言うと、借りたお金のほうが、返すお金よりも価値が高いということだ。

短期的には生産者もインフレで得をする

短期的に見れば、生産者もインフレで得をする。予想外のインフレが起こると、物価は上がるが、労働者への賃金がすぐに上がることはない。賃金が物価に合わせて上がるまで、生産者はより高い利益を上げることができる。

発展途上国の多くは、外国からの借金を返すために、自国の通貨を大量に発行してインフレを起こしてきた。たとえば、アメリカが外国に100ドル(約1万1500円)の国債を買ってもらったとしよう。国内でインフレを起こして100ドルの価値が半分になったとしても、外国に返すのは100ドルでいいので、実質的に借金が半分に減ったのと同じことになる。

実際、アメリカ政府は多額の対外債務を抱えているので、これと似たようなことをするのではないかと危惧する人もいる。ほとんどの先進国には政府から独立した中央銀行があり、政府が好き勝手にお金を刷らないように監視する働きをしている。アメリカでも、FEDは政治的なプレッシャーから守られているので、政府がマネーサプライを増やしたがっていても抑制できる。

お金を貸している人も貯蓄をする人も損をする

とはいえ、どちらかといえば、インフレで損する人のほうが多い。インフレ率が予想を超えると、お金を貸している人も貯蓄をする人も損をする。どちらも利子を稼いでいて、その利率はインフレも考慮して決まっている。しかし実際のインフレが予想したインフレを上回ると、お金を貸す人も貯蓄する人も期待通りの利子が稼げなくなってしまうのだ。

たとえば、あなたが銀行の定期預金に1000ドル(約11万5000円)入れたとしよう。金利は年に4%だ。予想したインフレ率は2%だったが、実際は5%になった。すると定期預金の実質金利はマイナス1%(4%-5%)で、むしろお金が減ってしまうことになる。もちろん1年で40ドル(約4600円)の利子はもらえるが、今の1040ドル(約11万9600円)は1年前の1000ドル(約11万5000円)より購買力が落ちている。

低所得者、年俸制社員、年金生活者は打撃を受ける

インフレは低所得の人ほど打撃を受けるとされている。低所得の人は、高所得の人に比べ、資産の中で現金の占める割合が高い。高所得の人も当然ながら現金は持っているが、資産の多くを他の金融資産や実物資産の形で持っている。インフレになると現金の価値が下がるので、資産をほぼ現金で持っている低所得者が大きな打撃を受けることになるのだ。高所得の人は、たとえ現金の価値が下がっても、インフレで現金以外の保有資産が値上がりすれば、現金での損を埋め合わせることができる。

決まった収入額で暮らしている人もインフレで損をする。想像以上のインフレが起こると、実質的な所得が目減りすることになる。年俸が決まっている会社員や、年金暮らしの高齢者は、実際のインフレ率が予想のインフレ率を上回っているかぎり購買力が落ちていく。

この影響を和らげるために、会社員にとっては会社、年金生活者にとっては政府が、「物価スライド」という方法で実際のインフレ率に合わせて支給額を調整している。しかし、それでも損失を避けることはできない。インフレと支給額の調整の間にはどうしてもタイムラグがあるからだ。予想を上回るインフレが長引くと、収入額が決まっている人たちは、収入増加がインフレよりも少し遅れてやってくるというゲームを延々と続けなければならない。


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)