職歴が複数社ある場合の職務経歴書の書き方は? ポイントとフォーマット別例文

    はじめに

    転職活動で欠かせないのが「職務経歴書」。これまでの職歴を採用担当者に伝えるだけでなく、自身の経験やスキルをアピールできる大切なものです。そこで気になるのが「転職を複数回していて、職歴が複数社ある場合」の書き方ではないでしょうか。そこで今回は、職歴が複数社ある場合の職務経歴書の書き方を例文と合わせて紹介します。

    転職回数が多いと転職に不利なのか

    ※画像はイメージです(Getty Images)
    ※画像はイメージです(Getty Images)

    一般的に、「転職回数の多さは転職で不利になる」というイメージを持っている方は多いでしょう。実際、年齢により多少変動しますが、20代であれば3社、30代以降は5社以上の転職歴があると「転職回数が多い」とみなされ、企業によっては評価に影響する場合があります。

    転職回数が多いと、企業の採用担当者によっては「自社でもすぐに辞めて転職してしまうのではないか」といった印象や「ストレス耐性に対する不安」を抱く可能性があるためです。転職回数が多い場合は、担当者の不安や懸念を払拭するために、前向きかつ正直な退職理由や、転職を経たことで身に付けたスキルなどをしっかりアピールすることが重要です。

    2社以上の複数社を職務経歴書に記載するポイント5つ

    ここからは、2社以上など職歴が複数社ある場合について、職務経歴書に記載するポイントを5つ解説します。

    1.職歴は正確にすべて記載する

    自身の職歴は、全て正しく記載しましょう。職歴の多さが転職に不利と聞くと、つい「少なく書いた方がいいのでは」と思ってしまうかもしれません。しかし、虚偽の記載は避けるべきです。

    正確な職歴は雇用保険などの加入履歴から調べられるため、採用後に嘘が発覚すると大きな問題につながりかねません。そのため、転職回数の多さで「印象が悪くならないだろうか」と気がかりに思っても、職歴は全て正確に書きましょう。

    2.退職理由はポジティブに記載する

    退職理由は、前向きな内容を記載するとよいでしょう。転職を複数回経ているということは、それだけ退職も同じ数だけ重ねているということ。

    そのため、「このような理由から転職を決意した」という具体的かつはっきりした理由を説明できるかどうかが重要になります。また、退職理由を伝える際に大切なのが、「辛かった」「仕事が好きじゃなかった」などネガティブな表現を避けることです。

    前向きな結論につながるよう、「キャリアアップ」や「年収アップによる経済的自立」などポジティブな理由を軸にするとよいでしょう。しっかり前向きに考えた決断であるとわかる転職は、回数が多くてもマイナスに作用しにくくなります。

    3.アピールポイントを明確にし記載する

    職務経歴書では、自身のアピールポイントを明確にするのも大切です。職務経歴書は、選択する記入方法によっては必ずしも時系列順に書かなくてもよい場合があります。

    そのため、求人内容に関連性の高い職歴や、自身にとって最も強調したいポイントを優先して書くことができます。職歴やスキル、資格がただ羅列されているだけでは、読みづらいだけでなく採用担当者にも「強みは何か」が伝わりづらく、職歴が多ければなおさらです。

    記入方法を工夫し、応募企業や業務に関する知識や資格、アピールしたいスキルをこれまでの経歴でどう活かしたかわかるように書くと、強みが伝わりやすい職務経歴書になるでしょう。

    4.職歴に一貫性がない場合は自己PRでアピール

    事務職の次は営業職、その次は接客業というように、転職ごとに職種が変わり職歴に一貫性がない場合、職務内容ではなく自分自身をアピールできる内容を考えてみましょう。たとえば、職歴を時系列ではなく職務ごとにまとめ、特にアピールしたい職務が一番目に留まるように書くなど記入方法を工夫するのも有効です。

    また、あらゆる業務に対応できる総合力をアピールすることもできます。異なる職種の経験を、希望する職務でどう活かせるかなど、「一貫性がないからこそ多様な活躍ができる」といった自己PRにつなげるのもよいでしょう。

    5.職歴が多い場合は文字数にメリハリをつける

    転職回数が多い場合、職歴の全てを正確に書くと長く読みづらくなってしまう、と心配する方もいるのではないでしょうか。

    その場合は、応募する求人に関係する職歴に関しては仕事内容や実績を詳細に書き、それ以外での職歴では基本的な情報のみにとどめるようにしましょう。アピールしたい職歴・実績と、それ以外の職歴で文字数に差をつけると、内容にメリハリが生まれ目立たせたい箇所をより明確に示せます。

    複数社を記載する場合の3種類のフォーマット

    ここからは、実際に複数社を職務経歴書に記載する場合のフォーマットについて、その特徴や書き方の見本を3種類紹介します。

    ▼フォーマット1:編年体式

    「編年体式」は、職務経歴を時系列にそって記載していくものです。フォーマットの中でも一般的なものであり、履歴書の流れと同じように職歴を把握できるので採用担当者にも伝わりやすいのが特徴。1社目から現在まで職務内容が一貫している方や、転職回数が比較的少ない方におすすめです。

    【編年体式 記入例】


    ●H28.4~H31.3

    株式会社△△

    業務内容:貨物運送事業

    資本金:□万円 売上高:〇億 従業員数:300名

    ・総務部の一般事務職として、来客・電話対応や社内研修サポートを担当


    ●R1.5~R2.6

    〇〇株式会社

    業務内容:IT・PC関連機器の販売

    資本金:□万円 売上高:××億 従業員数:150名

    ・営業事務として、営業職のサポート、見積もり、請求書など各種書類の作成を担当


    ●R2.7~R3.8

    ・同社経理部に異動

    ・経理事務として現金出納業務、売掛買掛金の処理、各種請求書の仕訳業務

    ▼フォーマット2:逆編年体式

    編年体式とは反対に、直近の職歴から過去にさかのぼって記載していく手法を「逆編年体式」と呼びます。現職や直近の企業で求人内容と関連のある業務を行っており、現在の能力やスキルをアピールしたい方におすすめの方式です。志望する求人とマッチ度の高い経歴や実績を採用担当者に一目で把握してもらえるため、選考にも有利に働きます。

    【逆編年体式 記入例】


    ●R2.7~現在

    〇〇株式会社

    業務内容:IT・PC関連機器の販売

    資本金:□万円 売上高:××億 従業員数:150名

    ・経理事務として、現金出納業務、売掛買掛金の処理、各種請求書の仕訳業務

    ・月次決算の正確性が評価され、決算にまつわる準備業務を一部担当

    ・社内帳簿を一元化し、計上、仕訳ミスを削減


    ●R1.5~R2.6

    ・上記同社の営業事務として勤務

    ・営業職のサポート、見積もり、請求書など各種書類の作成を担当


    ●H28.4~H31.3

    株式会社△△

    業務内容:貨物運送事業

    資本金:□万円 売上高:〇億 従業員数:300名

    ・総務部の一般事務職として、来客・電話対応や社内研修サポート、社保雇用関係手続を担当

    ▼フォーマット3:キャリア式

    キャリア式は、編年体式や逆編年体式とは異なり、職務や業界、取り組んだプロジェクトごとに職歴をまとめる方法です。これまでの経歴を「技術職」や「営業」などの職種で分類することで、経歴が冗長になり強みが伝わりにくくなるのを防ぐ効果があります。転職回数が多く他の方式では記載が長くなってしまう方、幅広い業務を経験してきた方におすすめのフォーマットです。

    【キャリア式 記入例】


    [接客・サービス業関連]

    ●H31.1~R3.7

    〇〇株式会社

    業務内容:洋服・雑貨の店頭販売

    資本金:□万円 売上高:×億 従業員数:200名

    ・〇〇本店にて、洋服や雑貨の店頭販売業務に従事

    ・お客様のニーズを的確に捉えた接客姿勢を心がけ、全支店の中で売上第3位達成に貢献


    ●H28.4~H29.3

    株式会社△△

    業務内容:フードサービスチェーンの経営

    資本金:□万円 売上高:××億 従業員数:500名

    ・店舗スタッフとしてホール内での接客業務


    [事務職関連]

    ●H30.4~H30.12

    ◇◇建築株式会社

    業務内容:土木工事業

    資本金:□万円 売上高〇億 従業員数:700名

    ・一般事務として、土木技術者の補助業務

    ・発注先へ提出する各種書類の作成、PCによる図面作成業務などを担当


    まとめ

    職務経歴書は、志望者自身がどのような業務に取り組んできたのか、そしてどのようなスキルを持っているのかを採用担当者が把握するために必要不可欠なものです。

    そのため、ただ履歴書と同じような書き方をするのではなく、職務経歴書だからこそ伝えられるスキルや実績が伝わるように書くことが重要です。今回ご紹介したポイントや例文を参考に、自身の魅力がしっかり伝わる職務経歴書を作成してみてください。


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