• 日経平均25935.62-457.42
  • ドル円135.35135.41

「脱観光」へ 京都の老舗が新機軸

伝統・観光産業に携わる京都の老舗などが、既存の経営や観光依存からの脱却に取り組んでいる。低価格の商品や地域住民向けのメニューを提供するなど、日常利用への転換を目指す。新型コロナウイルスの影響で観光産業などの苦境が続く中、生き残り策の転機となるか。今後の展開が注目を集めそうだ。

「KIEI-貴瑛-」ブランド第1弾商品として完成したルリモンハナバチ柄の帯
「KIEI-貴瑛-」ブランド第1弾商品として完成したルリモンハナバチ柄の帯

着物メーカー直販

京都府の絶滅危惧種に指定されているルリモンハナバチの柄を織り込んだ黄と青地の2種類の帯。昨年末にお披露目され、斬新な図柄だけでなく、西陣織ながら10万円を切る価格として注目された。

京都・西陣で創業330年の老舗帯地店「六文字屋岡文織物」と、同じ西陣の着物メーカー「秦流舎」(昭和41年創業)による新ブランド「KIEI-貴瑛-」の第1弾。絹80%、レーヨンとポリエステル計20%で、仕立てとガード加工代込みで9万9千円。問屋を通さず、両社が直に販売する。

着物市場は50年前後のオイルショック以降、高級品化する一方、出荷額は右肩下がりで低迷が続く。京都府によると、平成27年の繊維出荷額は1千億円で、ピークだった40年前の7分の1に縮小。若者の和装離れが大きな要因の一つだが、経済産業省の27年調査では、着物の着用経験のある20代女性の8割が「着物を着たい」としながら、高価な値段を気にするとした結果も出ている。

高級着物は、価格が不明瞭なケースが多く、消費者が着物を敬遠する理由の一つになっていた。六文字屋の岡本就介社長は「帯は、問屋や小売りを通せば20万~100万円以上になることもあるが、直販のメリットはメーカーが値段設定して消費者に届けられることだ」と説明。同店では直販部門は全出荷額の1割程度だが、さらに拡大を狙う。

新たな取り組みに、経産省生活製品課は「メーカーはこれまで以上に責任を負うことになるが、消費者の声は直接反映できる。今後の展開に注目したい」と期待を寄せている。

脱観光依存を目標

食の分野でも見直しが進む。和製化粧雑貨販売の「よーじや」(中京区)は、コロナ禍による収益減の解消策として、カフェ祇園店(東山区)で昨年末から、周辺住民をターゲットにしたハンバーグランチを新メニューに加えた。

観光客を中心にあぶらとり紙などが人気の同社だが、長引くコロナ禍で業績が低迷。カフェの収益もコロナ前の8割減で、ランチタイムの落ち込みが響いた。

府内を訪れた観光客は令和元年に最多の8791万人を記録。うち、京都市は6割にあたる5351万人を占めたが、コロナ禍で2年度は大幅に減り、中でも訪日客は9割以上減となり、観光産業などは打撃を受けている。

こうした中で、同社は「脱観光依存」を新たな目標に据え、利用が少なかった地元住民向けの取り組みも展開。カフェでは1500円前後のメニューが多かったが、新メニューはハンバーグにパンかライス、サラダ、コーヒーか紅茶を付けて千円で提供する。同社は「日常的に使ってもらえる価格ながら、材料や味にもこだわった」とする。


京和菓子の「鼓月」(伏見区)も、近畿6府県のセブン-イレブン各店舗で、看板商品の「千寿せんべい」の販売を始めた。これまで店頭や百貨店で販売してきたが、コンビニでの販売は昭和20年の創業以来初めて。しかも、1枚(129円)ずつ販売という手軽さが好評だ。

同社の担当者は「コンビニで売れるのか正直心配だったが、順調なのでほっとしている。おやつに1枚という、買いやすさが手伝ったのかも」と話している。

(園田和洋)


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)