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米、段階的抑止に隙か 現状変更の連鎖懸念

【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米大統領は23日、ウクライナへの全面侵攻を始めたロシアに対し、「断固」とした措置をとりロシアに「責任」を負わすと表明した。同盟・パートナー国と最大限の経済制裁に即刻踏み切るかが焦点だが、段階的な制裁強化で抑止できなかったロシアの行動をとどめられるかは見通せない。中国や北朝鮮などを勢いづかせ、世界の無秩序化を招く恐れがある。

バイデン氏は声明でロシアによる侵攻に対し、「ウクライナと世界の平和・安全に対する無用な侵略行為」と強く非難した。一国の主権を侵し、領土を他国が力で塗り替える現状変更は容認できず、プーチン氏は2つの大戦と東西冷戦を経た国際秩序の原則を蹂躙(じゅうりん)したためだ。

2大核保有国の直接衝突は避けたいバイデン政権はこれまでウクライナへの軍事介入の選択肢を否定し、「侵攻のエスカレートに応じて引き上げる」という段階的な制裁手法でロシアの抑止を図ってきた。ロシアがウクライナ東部の親露派支配地域の「独立」承認した際に発動した制裁も、「最大級の代償を払わせる」と通告してきた規模には及ばなかった。

共和党からは「(バイデン)大統領は(ロシアに対し)宥和(ゆうわ)策を選んだ」との指摘も上がる。ロシアへの抑止が中途半端となり、全面侵攻の隙を与えた観は拭えない。追加制裁ではロシアに対して、主要財源の天然ガス取引を寸断し、国際金融システムから締め出す「最大限」の制裁に踏み込めるかが重要となる。

全面侵攻で、ウクライナに隣接する欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国への脅威も高まる。米軍増派とNATOの戦力総動員で強固な防衛ラインを築くことも急務となった。

ウクライナ侵攻をめぐっては「パンドラの箱を開ける」とブリンケン米国務長官が予告したように、台湾侵攻をうかがう中国、核ミサイル開発を加速する北朝鮮による現状変更の連鎖が懸念されている。

米国はインド太平洋に力の空白を生む事態も避けねばならず、中国の覇権確立につながれば「現行秩序の終焉と世界の無秩序の時代到来を告げるだろう」と米歴史家のロバート・ケーガン氏は米紙ワシントン・ポストのコラムで指摘した。

バイデン政権がプーチン政権とどう対決するかは、「台湾侵攻の機会をうかがう中国の判断を左右する」(ハリス前駐韓大使)とされており、米国は前例なき二正面作戦を余儀なくされた。


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