ウクライナ侵攻で微妙な中国 肩入れ避ける理由は

    【北京=三塚聖平】ロシア軍がウクライナに侵攻したことに対し、中国は米露を含む各国に「自制」を呼び掛けることに終始した。中国は、台湾問題や新疆(しんきょう)ウイグル自治区などの分離・独立運動に波及することや、ロシアに巻き添えを食う形で国際的に孤立感を深めることを警戒。対米共闘で連携を強めるロシアを非難することはないものの、侵攻に肩入れすることも慎重に避けている。

    記者会見に臨む中国外務省の華春瑩報道局長=23日、北京(共同)
    記者会見に臨む中国外務省の華春瑩報道局長=23日、北京(共同)

    「各国が自制を保ち、情勢を制御できなくなることを避けるよう呼び掛ける」

    中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官(外務次官補)は24日の定例記者会見で、ウクライナ情勢についてこう繰り返した。記者からは「ロシアの行為は侵略か」「非難しないのか」といった、中国の認識や立ち位置を確認する質問が相次いだが、華氏は「ウクライナ問題は非常に複雑な歴史的な背景と経緯がある」などと正面からの回答を避け続けた。

    ウクライナ問題をめぐる中国の立場は微妙だ。ロシアとは近年、ともに対立する米国を前に関係強化を進めてきた。米英などが北京冬季五輪で政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」に踏み切った中、数少ない主要国の指導者として開会式に参加したプーチン露大統領には借りがある。

    一方、中国はウクライナとも巨大経済圏構想「一帯一路」など、経済を中心に強固な関係がある。北京のシンクタンク研究員は「ロシアもウクライナも中国の重要なパートナーだ。中国は自制し、慎重に発言する必要がある」と述べ、双方に配慮が必要な中国の難しい事情を指摘した。

    ロシアがウクライナ東部の親露派支配地域の「独立」を承認したことを中国が認めれば、台湾問題などへの波及も懸念される。王毅(おう・き)国務委員兼外相は19日に「各国の主権、独立、領土保全は守られるべきだ。ウクライナも例外ではない」とロシアにクギを刺すような発言をしている。

    今秋に習近平総書記(国家主席)の3期目入りを目指す共産党大会を控え、内政、外交ともに混乱を避けたいのが本音だ。ウクライナ問題をめぐり米欧との関係がさらに悪化することは得策ではないという計算が働いているとみられる。


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