介護にも普段使いにも 多用途を考えた「ウェルキャブ」は日本の“お家芸”だ

通常のミニバンとしても使いやすく

価格を抑えた点も嬉しい。これまでは平均して自己負担額は36.3万円ほど。それが19.7万円まで下げられている。日頃の介護費用も家庭の負担になる上に、多額の出費は厳しいものがある。歓迎されるに違いない。

さらに感心させられるのは、車椅子専用車という考えではなく、健常者の日常的な使用をも考慮していることだ。車椅子の昇降スロープはワンタッチで床に低く収納することが可能だし、3列目のシートは簡単に折り畳める。そして戻すことができる。もともとノアの3列目シートの操作性は際立っている。それを利用することで、健常者のマイカーとしての機能にも磨きをかけた。

非使用時の昇降スロープ。収納性にも優れている
非使用時の昇降スロープ。収納性にも優れている

ウェルキャブを福祉専用車両とするのではなく、日常は3列シートとして活用できることはよりウェルキャブを身近にさせる。車椅子の使用は短期であることも多い。そのために高価であり使用が限定されているミニバンを購入することは、家計に大きな負担を強いる。障害が改善した、あるいは介護が終わった場合に通常のミニバンとして活用できることは、よりウェルキャブの普及を促すことになると納得する。

超高齢者大国の日本ならではの、微に入り細を穿(うが)つ心憎い配慮は、ものづくり大国・日本の“お家芸”に違いない。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。

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