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再上場のはずが、コロナ禍で窮地 なぜマレリの負債は1兆円超にまで膨らんだのか

PRESIDENT Online

約1兆1000億円の巨大負債を抱える

米投資ファンドKKR傘下で、日産自動車や欧州のステランティスを主力取引先とする自動車部品メーカーのマレリホールディングスが業績悪化を受け、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決)の申請に向け取引銀行と調整に入った。

取引金融機関は20数行で、メインバンクはみずほ銀行。マレリの前身であるカルソニックカンセイが日産の元系列メーカーで、日産のメインバンクはみずほ銀行であることによる。20年12月末時点で借入金は約1兆1000億円と巨大だ。

「ADRでは50%以上の債務カットが一般的で90%までカット率を引き上げる場合もある」(大手信用情報機関)とされる。取引金融機関のなかには「シンジケートローンで参加した地銀もあり、体力に比して大きな痛手を被る可能性のあるところも出かねない」(関係金融機関)と危惧されている。

関係者によると、「地銀は担保カバー率を考慮しても60~70%程度の債権放棄が限界ではないか」と指摘される。21年9月末時点で、みずほ銀行は3600億円程度、三井住友銀行が1700億円程度を融資、三菱UFJ銀行、りそな銀行(埼玉りそな銀行)など、大手行が軒並み貸し付けている。また、日本政策投資銀行とみずほ銀行がそれぞれ優先株式に約350億円を投資している。

危機は日産、みずほ銀へと波及しかねない

ADR申請はKKR主導で、成立するかどうかは取引金融機関全行が納得するプランを提示できるかにかかる。みずほ銀行は直近発表した21年10~12月期決算で純利益が33%減の930億円に急減した。与信費用が急増したためで、「一部大口融資先の影響があった」と説明した。これはマレリのADRに備えた個別引き当てが主因と見られている。

他の大手行もマレリの債務者区分を引き下げ、貸倒引当金を積み増している。マレリの処理を誤れば、危機は日産、そしてみずほ銀行へと波及しかねないリスクが伴う。

マレリの経営危機は、買収を繰り返し、規模が拡大したのにもかかわらず、リストラ遅れ、そこにコロナ禍と半導体不足による自動車生産の急減が重なり、資金繰りに窮したことによる。「マレリは昨年末に取引先に対して支払いサイトの延長を求めるなど、4期連続の赤字により債務超過の懸念が高まっていた」(大手信用情報機関)とされる。

マレリの取引量のうち6割を、日産、ルノー、三菱自動車の日仏連合とステランティスが占める。これを日本市場に限ると日産との取引が実に8割を占める。再建のためには日産の協力が不可欠だが、日産は明確な支援を表明しておらず、資本支援については否定的だ。

マレリの行方を握る中国大手行の動き

かりにADRが成立しない場合、法的整理(経営破綻)に進む可能性があるが、岸田政権にとって大型倒産は政治的に受け入れられるかは疑問だ。実は、政府は昨年6月に産業競争力強化法を改正し、事業再生ADRを成立しやすいように措置していた。いわゆる「ごね得」を防ぎ、大型倒産を回避するためだが、期せずしてマレリがその試金石になった格好だ。


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