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日本は宇宙開発をいつまで「夢」の領域で語り続けるのか

先日、久しぶりに神奈川県相模原市にあるJAXA宇宙科学研究所(ISAS)を訪れた。拙著『売国』で日本の宇宙開発の現状と展望をテーマにした時、頻繁に通った場所であり、同作がテレビ東京の『巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲』というタイトルでドラマ化した時、撮影見学に行って以来、5年半ぶりの訪問だった。

気象衛星ひまわり9号を搭載し打ち上げられるH2Aロケット31号機=2日、鹿児島県の種子島宇宙センター(草下健夫撮影)
気象衛星ひまわり9号を搭載し打ち上げられるH2Aロケット31号機=2日、鹿児島県の種子島宇宙センター(草下健夫撮影)

無理に人を宇宙に運ぶより、無人探査機を

ISASは、日本の宇宙開発の父と言われる故・糸川英夫らによって開設された日本の宇宙開発の中核施設だ。

研究所内には、小惑星探査機「はやぶさ」や「はやぶさ2」など、ISASが上げてきた成果を知ることのできる「宇宙科学探査交流棟」という施設があり(ここは、以前はなかった!)、簡単な手続きを行えば、誰でも観覧できる。

また、交流棟の前には、ISASが開発したミューロケットの実物が展示されており、宇宙ファンならずとも宇宙への想像が膨らんでいく。

日本では、宇宙開発と言えば宇宙飛行士が話題の中心になりがちだが、世界的な競争力を有するのは、ISASが中心になって研究している固体燃料ロケットや無人探査機だ。

ロケットには、(液体酸素と液体水素を用いる)液体燃料ロケットと(火薬を用いる)固体燃料ロケットがある。アメリカのアポロや日本のH-Ⅱは液体燃料ロケットであり、一方の固体燃料ロケットは、ミューやイプシロンが有名だ。

液体燃料なら、巨大ロケットの製造も可能なため、有人ロケットや巨大な探査機が搭載できる。日本でも種子島宇宙センターからH-Ⅱロケットを打ち上げているが、あの規模では、人を宇宙に運ぶには小さい。その結果、日本人宇宙飛行士は皆、アメリカやロシア、ヨーロッパの有人ロケットで、国際宇宙ステーションに行っている。

いつかは、国産の有人ロケットを! という声は今も根強い。だからこそ、高い費用を払って日本人を宇宙に送り出しているし、国際宇宙ステーションの初期投資費用の1割弱である1兆円、年間約400億円を費用負担している。

しかし、JAXAに投じられる国家予算は約1800億円なので、その20%が国際宇宙ステーション費用となっている状況は、ずっと批判の対象となっている。

さらに、H-Ⅱロケットを1機打ち上げるには約190億円かかる。なのに、あの規模では、有人が不可能なのだ。

その上、現状では液体燃料ロケットの技術の大半は、アメリカが開発したものを日本がライセンス生産+α若干の独自開発をしているため、国産の有人ロケットを本気で実現するなら、現在の100倍以上の予算が必要となるだろう。

つまり、国産有人ロケットの開発は「夢として語る以上は不可能」というのが、現実だ。

一方、固体燃料タイプは規模が小さく、現在運用しているイプシロンロケットの打ち上げ費用は約30億円とH-Ⅱの6分の1以下だ。

人が乗れない小さなロケットだから当然で、それでは宇宙開発は進まないだろうと考える人がいるかもしれない。

しかし、宇宙探査が有人である必要はない。それどころか、はやぶさなどが上げている成果は、全て無人探査機だからこそ実現したものだ。

したがって、打ち上げるロケットを巨大化して無理に人を宇宙に運ぶより、無人探査機を多数宇宙に放ちさまざまな成果を上げる方が、意味があるのではないだろうか。

既に欧米中では、宇宙とは「夢の空間」ではなく、覇権争いと新しいビジネスのフロンティアだと捉られている。


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