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世界で争奪戦のコロナ飲み薬 国産薬が安定供給のカギ

新型コロナウイルス治療薬の世界的な争奪戦への懸念が強まっている。米ファイザー製の飲み薬はその有効性の高さから、世界各国が確保を急いでいる。こういった状況下で、国産飲み薬が安定供給される意味は大きいという指摘がある。

25日に厚労省への承認申請を行った塩野義製薬はこれまで、飲み薬の開発と並行して国内での製造工程の構築も進めてきた。すでに生産は始まっており、手代木功社長は今月7日に開いた記者会見で「2月末には40万~50万人分の製造を積み上げる」と述べた。3月末までに100万人分を供給できるといい、さらに4月以降には年1000万人分以上を供給する体制を整える。

岸田文雄首相は18日の予算委員会で、国産薬の安全性と有効性が確認されれば、承認を前提に購入契約を結ぶことは可能だと説明している。飲み薬の安定供給に国産が果たす役割は大きい。

オミクロン株の感染拡大、また死者数の増大を受けて日本政府は飲み薬の確保を急いでいる。メルク製の飲み薬に関しては160万人分の供給で合意。ファイザー製に関しては200万人分の調達で合意した。

ただ、ファイザーの飲み薬は世界でも需要が増しており、今後、争奪戦が一層激化する恐れがある。臨床試験(治験)で、入院・死亡のリスクが約9割減ったとしており、各国は医療体制の逼迫を抑える切り札として調達を急いできたからだ。米国は1月、当初予定していた数の倍となる2000万人分の契約を結んだことを明らかにした。フランスも昨年末、入院・死亡のリスクを約3割低減させる効果が治験で示されたメルクの飲み薬の発注を取り消し、代わりに米ファイザー製の調達を進める考えを示している。

ファイザーも2022年末までに1億2000万人分生産と急ぐが、アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は1月に米国で開かれた会合で有効成分の合成などに時間がかかるとして、今年3月までは600万から700万人分の供給に留まると明かしている。

こうした中、日本にはまず4万人分が供給された。ただ、その後の供給スケジュールは明らかになっておらず、治療薬を輸入に頼るリスクが顕在化している。

長崎大学の迎寛教授は「経口薬として既に承認されている2剤は輸入薬であり、現在十分とは言い切れない状況だ」と指摘。その上で「塩野義の飲み薬が、日本の軽症患者に対してより多くの方々に供給が可能な点に期待できる」と話している。(井上浩平、安田奈緒美)


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