ロシア決済網排除を決定 米英欧が追加制裁、露中銀も

    【ワシントン=塩原永久、パリ=三井美奈】米英欧やカナダなどは米東部時間26日午後(日本時間27日午前)、ウクライナ侵攻をめぐるロシアへの懲罰措置として、国際的な決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの金融機関を排除すると発表した。西側諸国による包括的な追加制裁の一環で、ロシアの中央銀行に対する制裁措置も決めた。

    SWIFTのロゴ=2017年10月、カナダ・トロント(ロイター=共同)
    SWIFTのロゴ=2017年10月、カナダ・トロント(ロイター=共同)

    ホワイトハウスは共同声明で、「われわれは英雄的な奮闘をみせるウクライナの政府と国民を支持する」と指摘した。ロシアのプーチン大統領が決めた軍事侵攻を「第2次大戦以降に浸透した原則的な国際ルールと秩序への襲撃だ」と非難している。声明には米国、欧州連合(EU)、フランス、ドイツ、イタリア、英国、カナダが名を連ねた。

    追加制裁はロシアの一部銀行をSWIFTから排除する。対象について「すでに国際社会の制裁対象となっていた銀行。必要な場合は、他のロシアの銀行も加える」とした。米欧が資金を凍結しているロシアの開発対外経済銀行(VEB)などが想定されている。対象行は貿易などで必要となる通貨の国際決済が制限され、金融取引に大きな打撃を受ける公算が大きい。

    声明によると、SWIFTからのロシア排除を効果的に実施するため、ロシア中銀が乗り出す可能性がある外貨準備の活用などを阻止するとしている。プーチン氏を支援する新興財閥関係者(オリガルヒ)らを念頭に、特殊なビザの適用を禁じる。

    SWIFT排除は、ロシアが石油やガス輸出で得た外貨送金を遮断する手段で、輸入国にも打撃が及ぶことから「金融の核兵器」(ルメール仏財務相)と呼ばれる。ウクライナが米欧に実施を求めてきたが、欧州側に慎重論が強かった。

    欧州ではロシアへの強硬措置を求めるバルト三国やポーランドがSWIFT排除を求める一方、ロシア産ガスに依存するドイツやイタリア、親露派のハンガリーが否定的な態度をとり、合意ができなかった。26日には、ポーランド、リトアニア両首脳がベルリンでドイツのショルツ首相と会談し、実施を強く求めた。

    SWIFTはベルギーに本部を置く非営利組織。国際金融の送金を手がけており、世界の1万以上の金融機関が利用。2012年、核開発疑惑が浮上したイランに対し、米欧はSWIFT排除の制裁を科している。


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