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アフリカの「水」を変える ヤマハ発動機、ODAで浄水装置供給

二輪車メーカーのヤマハ発動機がアフリカで浄水プロジェクトに取り組んでいる。「水が変われば暮らしが変わる」という思いを込めて、安全な水が飲めない地域に浄水装置「クリーンウォーターシステム」の導入を働き掛けている。飲み水の確保は国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)にも含まれており、社会課題の解決とビジネスの両立を目指している。

セネガルの村落に設置された浄水装置のメンテナンスを行う現地の住民ら=2018年(ヤマハ発動機提供)
セネガルの村落に設置された浄水装置のメンテナンスを行う現地の住民ら=2018年(ヤマハ発動機提供)

同社の売上高は約9割が海外事業で、現在140超の国・地域に進出している。二輪車のほかに船外機やボートなどマリン系のイメージも強いが、約30年前から家庭用浄水器を途上国で販売している。1980年代にインドネシア駐在員の家族から「水道の水が茶色で困る」と相談され、井戸や水道の水をきれいにする浄水器を自社開発したのがきっかけだ。

その後、水道のない地域の人に安全な水を提供できないかと考え、河川水などを利用した浄水装置の開発を開始。改良を重ねて完成したのがクリーンウォーターシステムで、2010年にインドネシアの村落向けに限定販売し、手応えを得たことから12年からアフリカを中心に展開している。

セネガルの村落に設置された浄水装置の使い方を説明するヤマハ発動機の社員=2018年(同社提供)
セネガルの村落に設置された浄水装置の使い方を説明するヤマハ発動機の社員=2018年(同社提供)

現在はセネガルやマダガスカル、コンゴなどアフリカ10カ国、東南アジア4カ国で42基(昨年12月時点)が稼働している。

この装置は細かな砂にゆっくりと水を流す「緩速濾過(ろか)式」を採用する。砂の中にいる微生物の分解作用で水中のごみを取り除き、不快な臭いも除去する。自然界の水を浄化する仕組みを応用した。大型と小型の2種類あり、大型は河川水などを原水に浄水処理し、水道用水として1日当たり8000リットル供給できる。

クリーンウォータープロジェクトグループの金丸正史氏は「一般的な濾過で使われるフィルターや凝固剤を使用せず、砂や砂利の交換も不要で低コストで運用できる」と利点を説明する。簡単な設計で住民が自主運営できるという。

アフリカへは1960年代から政府開発援助(ODA)を通じて同社製品を供給してきた。70年代に欧米メーカーが手掛けていない船外機の需要を狙い、本格的に進出した。当時は漁業指導も行い、信頼を獲得し、アフリカでの知名度を高めた。現在は浄水プロジェクトでの貢献を目指す。

国連児童基金(ユニセフ)によると、世界人口の26%に当たる約20億人がきれいな水を飲めないという。このうち約4億人が、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国に該当する。クリーンウォーターシステムはアフリカで27基設置しているが、サハラ以南を踏まえると、導入の余地が大きい。現地の状況について、金丸氏は「水道が整備されていない村落が多く、部品が壊れて使われていない井戸もよく見かける」と話す。

セネガルで導入後に実施した現地調査では、下痢や腹痛、皮膚病の改善、水くみ作業がなくなり、女性や子供の学習機会が増加する効果がみられたという。アフリカで浄水装置の信頼性は高まっているものの、村落や病院、学校は資金に乏しく、設置が容易ではない。このため、ヤマハ発動機はODAや国連機関などからの公的資金を活用しながら、浄水装置の導入を進めていく方針だ。浄水装置を広めることでアフリカでの存在感をさらに高め、他の製品の購入拡大にもつなげていく。(黄金崎元)


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