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eスポーツ先進都市目指せ 中学での部活も推奨 大阪・大東市が本腰

大阪府大東市が、コンピューターの対戦ゲームを競技として行う「eスポーツ」の拠点都市を目指している。民間事業者からゲーミングパソコンの寄付を受け、活動拠点となるジムを公民連携で開設・運営し、中学校でのeスポーツ部設立も視野に入れる。誰もが取り組みやすく最新テクノロジーが楽しめるeスポーツは、巣ごもり需要や実況配信の盛り上がりもあって、国内外で市場の急拡大が見込まれている。市は「eスポーツを通して子供たちが世界基準に触れ、市民が恩恵を受けられるデジタル先進都市を目指したい」としている。

「第1回大東eスポーツ中学生大会」でサッカーゲームをプレーする中学生たち=令和3年10月、大阪府大東市(田中徳員さん提供)
「第1回大東eスポーツ中学生大会」でサッカーゲームをプレーする中学生たち=令和3年10月、大阪府大東市(田中徳員さん提供)

地域活性化へ

eスポーツは9月の中国・杭州アジア大会で正式種目となるほか、海外では高額賞金付きの大会でプロが活躍。国内でも専門学校などで選手育成が進み、IT(情報通信)事業者などの支援でプロチームが誕生している。

大東市は、地域の活性化や健康増進などに向けたeスポーツ活用の基本計画づくりに取り組んでいたところ、eスポーツ事業を運営する「Liberal Mind」(東京都)から競技普及のため、機材の寄付や技術指導の申し出があった。

市政策推進部行政サービス向上室の川口克仁室長は「eスポーツをどう活用するか苦戦していたが、機材提供の具体的な話が持ち上がり、計画を飛び越えて一気に事業として動き出した」と話す。

寄付されたのは、ゲーミングパソコンとデスクやチェアなど数百万円相当。市は、元小学校の校舎を活用した「アクティブ・スクウェア・大東」(同市深野)の一室に、eスポーツのトレーニングができ、情報発信の拠点にもなる「ジム」の整備を進めている。

ジムの開設時期や具体的な運営方法などは未定だが「民間事業者や競技団体と連携しながら、eスポーツの体験会や大会を開催して関心を高めていきたい」(川口室長)と青写真を描く。

楽しみながら

また、市内の8中学校にも希望があればゲーミングパソコンを提供し、同好会や部活動としての活動を支援する。プロ選手を指導者に招いて体験などを語ってもらうほか、インターネットの新たな技術にふれ、デジタル人材の育成につなげたい考えだ。

eスポーツの振興に向け、同市では行政より先に民間が動いている。アクティブ・スクウェア・大東では昨年10月、市などが後援し「第1回大東eスポーツ中学生大会」が開かれた。サッカーゲーム「ウイニングイレブン」を中学生がプレーする様子がトッププロの解説付きでライブ配信された。

開催・運営の中心となった警備会社経営、田中徳員さん(45)は「全面協力したい」と市の取り組みを歓迎。「eスポーツはプロもいれば小中学生や障害者、高齢者もプレーできる。他のエンターテインメントやサブカルチャーとの相性もよく、リアルとバーチャルを組み合わせてさまざまな情報発信につなげたい」と意気込む。

東坂浩一市長は「eスポーツは社会的認知度も向上し、ゲームから連想するイメージをはるかに超えた存在。野球やサッカーなどと同様に子供たちが輝き、年齢や性別、体力を問わず多くの人たちが楽しみながら活用できるよう推進していきたい」と話している。

市場急成長 IT人材育成、地域活性化の切り札に

eスポーツを地域活性化やデジタル技術に通じた人材の育成に生かそうという取り組みは、各地で進んでいる。

「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」を掲げる神奈川県横須賀市は、令和元年から高校生への普及プロジェクトに取り組んでいる。市内の公私立13校のうち8校が、民間事業者の協力で無償貸与されるゲーミングパソコンを利用。昨年は2大会を主催し、11月には全国から参加した38チームが人気のシューティングゲーム「ヴァロラント」で競い合った。

同市の担当者は「ゲーミングパソコンは高い性能が必要で高校生には高価。将来を考える重要な時期に、eスポーツで最新の技術や表現に触れられるのは意義がある」と強調。「生徒たちもルールを決めて活動している。大人が心配しがちな『ゲーム依存』『ゲーム障害』のような状況はない」と話している。

このほか、群馬県は県庁にeスポーツの専門部署をつくり、県内企業対抗の社会人リーグなどを開催。秋田市では、平均年齢69歳のシニアチーム「マタギスナイパーズ」が結成され話題を呼んだ。

eスポーツの取り組みが活発化する背景には、大会の様子を動画配信することで地域に限定されない情報発信ができるほか、大会開催に伴う広告収入や観光振興、新しいコミュニティーづくり、教育などへの波及効果が期待されるからだ。

経済産業省の「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」の報告書によると、国内eスポーツ市場は平成30年の44億円から令和7年には600億~700億円に成長すると試算される。ファン数も約2600万人と、eスポーツの人気が高い韓国に並ぶ見込みだ。

家庭用ゲーム機が普及している日本では、パソコンを使うeスポーツは海外に比べて遅れぎみだったが、平成30年にeスポーツの関連3団体を統合した「日本eスポーツ連合」(JeSU)が設立され、大規模な大会開催の環境が整備されつつある。(守田順一)


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