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ウクライナ人の女性神職 御朱印に託す平和への願い

ロシアのウクライナ侵攻に収束の兆しが見えない中、日本国内のウクライナ出身者たちは祖国の苦境に胸を痛める日々を送っている。埼玉県上里町の菅原神社で権禰宜(ごんねぎ)を務める梅林テチャナさん(39)もその一人だ。「多くの友人や親族と連絡がとれていない。被害に遭った人がいるかもしれない…」。1日に取材に応じたテチャナさんは絞り出すように語った。

菅原神社の権禰宜を務める梅林テチャナさん。祖国・ウクライナで暮らす親族らの無事を願う=1日午後、埼玉県上里町(深津響撮影)
菅原神社の権禰宜を務める梅林テチャナさん。祖国・ウクライナで暮らす親族らの無事を願う=1日午後、埼玉県上里町(深津響撮影)

ロシア、ウクライナ両国による初の停戦交渉が終了したとの報道が伝わった1日、テチャナさんは祈禱(きとう)をしたり御朱印を書いたりして普段通りに過ごした。

しかし、内心はいてもたってもいられない思いだ。交渉は継続されることになったが、停戦に至るかは見通せず、テチャナさんは「(侵攻は)まだまだ続く。終わりが見えない」と表情を曇らせる。

ウクライナ西部・ザカルパチア州出身のテチャナさんは、キエフ国立大で日本語と英語を学んでいたとき、菅原神社の禰宜で日本語の講師を務めていた夫の正樹さん(49)と出会った。平成21年に来日して正樹さんと結婚し、現在は権禰宜の傍ら、日本人外交官にウクライナ語を教える非常勤講師も務めている。

ザカルパチア州には今もなお20人以上の親族が暮らしている。

このうち、33歳と32歳のいとこの男性とは毎日、テレビ電話で連絡を取っている。いとこたちが住む地域では今のところ攻撃の被害は出ていないそうだが、2人は「必要になれば避難できる準備を進めている。もっと状況が悪くなったら戦いに行く」とテチャナさんに話しているという。

ロシアによる攻撃にさらされている首都キエフで暮らす大学時代の友人や知人とは2月25日以降、連絡が取れていない。

ある知人女性からは、同月24日に「キエフから出たかったが渋滞がひどく、出られなかった。家にいる」とメールが届いたのを最後に連絡が途絶えた。

毎日、各国の報道をチェックしているというテチャナさんは「見るのがつらい。信じられないくらい状況が悪くなっている」。ウクライナの民間人が死亡したとの情報も伝わり、「言葉で表せない。つらい。悲しい。悲劇です」と言葉を詰まらせる。

菅原神社で頒布している御朱印には、テチャナさんが書くウクライナ語版のものがある。侵攻が始まった2月24日以降、テチャナさんはこの御朱印に「ウクライナに栄光あれ」というメッセージを記している。会員制交流サイト(SNS)にも御朱印を投稿し、祖国が難局を乗り越えて再び平和が訪れるようにという思いを発信する。

参拝客らから「ウクライナが平和になるように」「元の生活に戻るように」と声を掛けられたことが心の支えになったというテチャナさんは「ウクライナを応援してください。一人一人が声をあげれば大きな力になると信じています」と言葉に力を込めた。(深津響)


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