家庭や部活、放課後もデジタル化浸透 授業連携で利点、今月にも配布端末の持ち帰り指針公表

    新型コロナウイルスの流行で全国で約5000校の小中学校が学級閉鎖や休校になる中、1人1台配布された電子端末の活用が進んでいる。ただ、平常時は持ち帰りを禁止する学校も多く、文部科学省は3月にも家庭での利用を認めるためのガイドラインを公表する。ITを駆使した家庭学習や部活動向けの新サービスも生まれており、厚みを増す授業外のデータが教育のデジタル化の鍵を握っている。

    デジタル化で変わる教育
    デジタル化で変わる教育

    スタートアップ企業のマナビゲート(東京都渋谷区)は1月末、家庭教師のマッチングサービス「まなびスクエア」を開始した。有料のチケットを購入して、登録された講師からオンラインで授業を受けることができる。講師は難関大の卒業者や教員免許の保有者らで、会社員や研究者が副業で登録している。

    独自のプラットフォーム(基盤)を構築し、授業の様子を記録できるため、保護者は動画で確認できる。他社サービスの多くが無料のテレビ会議アプリを使い、やり取りは先生と生徒に任せているのに対し、代表取締役の中山大之さんは「保護者に安心してもらえることを優先している」と話す。中山さんは「学校で使う教材を把握できれば、生徒に合わせた指導ができる。学校も塾の成績などで生徒のデータを補うことができる」と連携の利点を説く。

    KDDI(au)が提供するスポーツのITサービス「アスリーテック」も部活動を皮切りに教育現場に浸透しつつある。アスリーテックはボールに内蔵されたセンサーが球速や回転数、加速度などを計測。数値の変化をトレーニングに活用する。

    導入した金沢市の私立星稜中野球部は昨年8、9月に開かれた全国大会で2冠を達成した。同中では総合学習で教材として使う生徒もおり、部活動のデータもデジタル教育に役立てることができそうだ。

    文部科学省によると、2月9日時点で小学校3898校、中学校1034校が学年・学級閉鎖、休校を実施。家庭でのオンライン授業で配布端末を活用している。

    教育のデジタル化は文科省がデジタル庁などと合同で工程表を示している。令和12年ごろまでに、個人は自分でデータを管理して、個性に合わせた学習を受けられるようにするとしている。(高木克聡)


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