連載7回目、今回は、「軟調相場で資産とメンタルを守るための6つのルール」について書きます。米国の金利上昇局面、「岸田ショック」、ロシア・ウクライナ情勢、新型コロナウイルス禍などにより、不安定な相場が続いています。遡るに、ここ2年はベリー・イージーな相場が続きました。ほぼ何を買っても儲かっていたことでしょう。
■イージーな相場から難しい相場に
さらに遡りますと、トランプ前米大統領時代を含めたこの5年ほどがイージーだったといえます。トランプ減税、金融緩和などの恩恵を受けて、多くの銘柄が株価上昇しました。特に、ハイテク株には相当な値上がりが見られました。ところが、不安定な相場に突入して、ハイテク株を中心に大幅な株価下落が見られます。言い換えれば、多くが適正価格になったということです。まだバリュエーション(価値分析)が高い銘柄もあります。イージーな相場から、難しい相場に変遷したのです。これまで、あまりに好調だったことが当たり前に感じて、今の相場に恐怖を持っている方もおられることでしょう。
この相場をどう乗り越えるか? 資産をどう守るか? メンタルをどう保つか? いろいろと考える場面でしょう。投資歴23年の私は…実は、いたって平常心です。
私が、どう向き合っているのか? どう向き合えば、平常心でいられるのか? どう資産を守るのか? 次の6つを提案します。
(1)マーケットベースではなくゴールベースで考える
(2)投資した理由を思い出す
(3)リスク許容度を見直す
(4)ポートフォリオ再構築
(5)ノールック
(6)投資を勉強する
ひとつずつ解説しましょう。
(1)マーケットベースではなくゴールベースで考える
あなたは、なぜ投資していますか? 投資の目的、目標はどういうものですか? 明確な答えはありますか。私は、年齢を重ねるとともに、投資よりも先に、人生設計や資産計画を意識するようになりました。自分はどんな人生を歩みたいか、先にそれを決めました。次に、そのための資産計画を練りました。そこからリンクして、投資目標や戦略を考えたのです。その結果として、「60歳到達時の年間配当額を手取り240万円」を目標に設定、これを「投資のゴール」としました。
そのために、世界の高配当株および増配株に投資することを「投資戦略」としました。このように、投資をゴールベースで考えたことになります。マーケットベースで考えるとしたら、この明確なゴールに到達するために、どう「投資戦術」をとるか? つまり、「今どう動けば(もしくは動かない)」ゴールにアプローチできるのか? ということです。
この軟調相場でも、常にゴールベースで判断することで、心が乱されることはありません。そして、判断を誤って資産を減少させるリスクを軽減することができます。逆に、日々、乱高下する株価を直視するだけではマーケットベースで判断しかねないことになります。今日、明日儲けるために投資したわけではないはずなのに、です。これは危険です。
人生設計をしましょう。投資目標を考え直しましょう。そして、ゴールベースで判断しましょう。60歳が遠すぎると思う方は、10年計画でもいいでしょう。