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韓国・次期大統領選の争点は? 市場原理を無視した文在寅政権の“負の遺産”

PRESIDENT Online

18年の雇用者増加数が9万7000人と(図表2)、16年、17年を大きく下回ったのは、卸・小売・飲食業界で12万人近く減少したことによるところが大きい。なお、20年はコロナショックで減少し、21年はその反動で増加した。

文政権下ではまた、短時間(週36時間労働未満)労働者の割合が上昇した。公共部門で雇用が増加したものの、その多くが短時間雇用であったことが影響している。若年層の就職難も続いており、総じて雇用環境は量、質ともに悪化したといえる。

コントロールできない住宅価格の高騰

雇用環境の悪化に加えて、文政権で新たな問題が生じた。一つは、財政赤字の拡大である。所得主導成長に関連した政策の推進と新型コロナ対策などから、補正予算や大型予算を編成した結果、政府債務残高の対GDP比率は17年度(1~12月)の39.7%から22年度に50.2%へ急上昇する見込みである。他国と比較して、韓国の財政は相対的に健全とはいえ、悪化ペースが速いことに注意したい。

もう一つは、住宅価格の高騰である。朴政権期で、住宅投資の増加が成長を下支えした半面、それが住宅価格の高騰と家計債務の増加につながったため、16年頃から住宅投資を抑制する政策がとられるようになった。

文政権は格差是正の観点から住宅価格の安定化を重要な政策課題にした。住宅価格の高騰は投資を目的にした需要によるものとの判断から、供給を増やすのではなく、住宅融資規制の強化や固定資産税率の引き上げなどを通じてその抑制を図った。これにより、住宅価格は18年秋口から19年半ばにかけていったんは下落したものの、19年半ばに上昇に転じ、その後高騰した(図表3)。

市場原理を読めなかった大統領側近の学者たち

ソウル首都圏の価格は最近2年間に50%程度上昇した。投資需要が規制対象外になった地域にシフトするとともに、居住を目的とした住宅購入者は少しでも安いうちに購入しようと、購入を急いだことによる。コロナ禍での利下げもその動きを後押しした。

価格の高騰に歯止めがかからないため、文政権も遅ればせながら、21年2月、25年までに全国で約83万戸の住宅を増やす計画を発表した。

所得主導成長政策の頓挫と住宅政策の失敗に共通するのは市場原理の軽視である。生産性の上昇を伴わずに最低賃金を大幅に引き上げれば雇用にマイナスの影響を及ぼすこと、住宅供給を増やさなければ価格の高騰をまねくことは十分に予測できた。それができなかったのは、政権発足時の大統領府の政策室長と経済首席秘書官に、経済民主化や所得主導成長を提唱した学者を登用したことが影響したといえる。

以上のように、文政権下で雇用環境の悪化や住宅価格の高騰、財政赤字の拡大などが生じた。さらに最近、韓国経済を取り巻く環境が厳しさを増している。

韓国経済をさらに衰退させる追加利上げのリスク

一つは、インフレである。世界的なエネルギー・原材料価格の上昇とウォン安などにより、消費者物価上昇率が21年10月以降3%台で推移している。韓国銀行は21年8月からすでに3回の利上げを実施した。


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