ITエンジニアは人材不足ではない? 採用責任者の9割が口を揃える本音

    新型コロナウイルス禍に伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の影響で人材不足といわれているITエンジニアだが、採用現場では応募者の半数が不採用となっているということが、企業のITエンジニア採用責任者約1000人を対象とした調査で分かった。9割以上の企業が「採用基準を満たすエンジニアの採用は難しい」としており、単なる人材不足ではなく、企業が求めるスキルとエンジニアが持つスキルが大きく乖離(かいり)している様子もうかがえる。

    デジタル人材不足の実態は数の問題でなく…(Getty Images)※画像はイメージです
    デジタル人材不足の実態は数の問題でなく…(Getty Images)※画像はイメージです

    自社雇用の一方で外部からの即戦力も

    調査はエンジニアリングサービスを手掛けるアクサス(東京)が1月末、ITエンジニア採用責任者1013人を対象に、インターネットを通じて行った。

    それによると、ITエンジニアが「不足している」と回答した企業は50.0%、「深刻な人材不足に陥っている」が29.3%と、全体の約8割の企業が不足していると答えた。一方で応募者総数に対する採用率について尋ねると、「40~59%程度」との回答が3割程度と最も多く、40%を下回る企業も全体の約3割に達した。ITエンジニアは不足しているものの、求める人材の採用に至っていない実態が浮き彫りとなった形だ。

    (アクサス調べ)
    (アクサス調べ)

    「エンジニアに求めるスキル」について複数回答で尋ねたところ、「汎用的な技術知識/スキル」が62.6%と最多。次いで「プロジェクトを引っ張るリーダーシップ」が38.0%、「顧客志向」が34.9%という結果だった。ただ、こうした「求めるスキル」を持つエンジニアの採用について「難しい」と答えた企業は9割を超え、企業側が求める幅広い技術知識・スキルと、エンジニアが持つスキルの実態に大きな乖離がある様子も浮かび上がる。

    (アクサス調べ)
    (アクサス調べ)

    「人材不足に陥っている」と答えた企業を対象に、人材を獲得するために行っている対策について複数回答で尋ねると、「中途採用」が76.0%、「新卒採用」は47.6%と、自社雇用に注力する一方で、およそ8割の企業が人材派遣会社や外部パートナーなども活用して即戦力を得ていることも判明した。


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