ウクライナ侵攻で米ロの宇宙冷戦勃発 どうなるISS? 世界の宇宙計画は?

2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。バイデン米大統領は同日、ロシアへのハイテク製品の輸出規制を発動。これに対してロシア宇宙機関ロスコスモスの長官ロゴージン氏は、自身のツイッターで猛反発した。これは宇宙開発において各国と協調関係にあったロシアが、大きな転換を図りつつあることを示唆している。宇宙は「冷戦」状態に突入したのか? 米ロが中核を成すISS(国際宇宙ステーション)の行方は? キーワードは「ISS」「ソユーズ」、そして「ロシア製エンジン」。ウクライナ侵攻から4日間で発生した宇宙開発関連の動向をまとめ、現状を解説したい。

米バイデン政権に噛みつくロシアのロゴージン

ロスコスモスの局長ドミトリー・ロゴージン氏
ロスコスモスの局長ドミトリー・ロゴージン氏

ドミトリー・ロゴージン氏は2011年から8年間にわたってロシアの副首相を務め、その後、ロスコスモス(米国のNASAにあたる国営企業)の局長に就任し、現在に至っている。剛直な人柄であり、ツイッター上での個人的コメントが話題になることが多い。

▼ロシア宇宙機関トップが米大統領に脅し

バイデン大統領が声明を発表した日の深夜、彼は自身のツイッター上に矢継ぎ早にコメントした。その内容を意訳すると、このようになる。

「(宇宙機製造に欠かせない電子機器である)耐放射線性マイクロ・エレクトロニクスをロシアに輸出することを止めるつもりですか? 米国は同様のことを2014年(ウクライナ侵攻時)にも大々的に行いましたね」


「(そのような制裁を米国が行っても)ロシアはそれら機器の国内生産を拡大するだけです」


「世界でもっとも信頼性の高いロシア製ロケットを、各国が使用することを禁止されたいのですか?」

また、ISS運用に関しては、バイデン米大統領に対してこのようなメッセージを送っている。

「ISSでの協力を破棄するつもりですか? ISSを米国だけで管理する?」


「(ロシアの協力がなければ)米国はどのようにISSの軌道修正や、デブリ回避をするか説明してください」


「(ロシアの協力がなければISSは高度を上げられないので)総質量500トンのISSをインドや中国に投下させるという選択肢も(米国には)ありますね。それらの国々を脅すつもりですか?」


「ISSは(緯度の高い)ロシア上空を(ほぼ)航行しません(つまり無制御になってもロシアには落下しない)。そうしたリスクを取るか決定するのはあなたです。その覚悟はできていますか?」

さらにロゴージン氏は、このような投稿も。

「(ロシアに対して)制裁を計画するのであれば、まずはあなたがアルツハイマー病でないかをチェックしたほうがいい。米国の制裁が、比喩的な意味でなく、あなたの頭に落ちることを防ぐためにも」

わずか4分間で6本にわけてツイッターに投稿されたこの文言は、米CNNなどによって即座に世界へ報じられた。

▼ウクライナ侵攻を受けた欧州宇宙機関の反応

これに対し、ESA(欧州宇宙機関)の局長ヨーゼフ・アシュバッハー氏は翌日25日、「現在は紛争中だが、宇宙協力は依然として(世界の)架け橋です。(中略)ESAは、ISSやエクソマーズ計画に引き続き取り組みます」と、自身のツイッター上でコメントした。

エクソマーズとは、現在ロスコスモスとESAによって進められている火星探査計画であり、今年9月に火星ローバー「エクソマーズ2022」を、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地からロシアのプロトンMロケットによって打ち上げる予定だ。

このアシュバッハー氏のコメントはロシア側にも受け入れられ、即座にロスコスモスの公式サイトにも掲載された。しかし、アシュバッハー氏自身のツイッター上からはその後消去されている。また、このころからロシアへのサイバー攻撃が激しくなり、27日以降はロスコスモスの公式サイト自体が閲覧できなくなっている。

その後、ロシア側はアシュバッハー氏とのオンライン会議を申し入れたようだが、ESAがこれを拒否した。

ESAとロシアの共同プロジェクト、火星ローバー「エクソマーズ2022」。2022年9月にロシアのプロトンMによって打ち上げる予定だったが…(ESA/ロスコスモス)

▼ロシア側の投稿に、イーロン・マスク氏が皮肉

ロゴージン氏のツイートには、スペースX社を率いるイーロン・マスク氏も反応した。「ロシア製ロケットの各国使用を禁止してもよいのか?」のコメントに対してマスク氏は、スペースXのロゴマークのみを返信。つまり「ロシアがいなくても、スペースXがある」という皮肉である。

さらに「ISSの早期破棄を、あなたが防ぐという意味か?」というマスク氏フォロワーからの質問に対して、マスク氏は「YES」とコメントしている。

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