大阪市の松井一郎市長は2日、2025年大阪・関西万博のアクセスルートに位置づけられる高速道路「淀川左岸線」の2期区間について、仮設の代替路整備を検討していることを明らかにした。市役所で記者団に「本設の(トンネル埋設)工事が間に合わないなら致し方ない」と述べた。
2期区間をめぐっては、地盤の異常が判明するなど万博までの全通が困難な情勢。市はトンネル埋設工事を進める一方、万博までにアクセスルートが通らない事態は避けなければならず、代替路として、地上に車道を通す方向に傾きつつある。
松井氏はまた、地盤の異常に伴う工法の変更に迫られ、本設工事の整備費が1千億円程度膨らむとの見通しを示した。令和2年にも当初の整備費から756億円上振れすることが明らかになっており、総事業費は計約2900億円に上る。
こうした試算について、松井氏は「地盤調査の考え方が甘かった部分は否めない」と釈明。一方で「50年、100年大阪の経済を支えるインフラ。長いスパンで考えれば費用対効果はプラスだ」と強調した。費用は国が55%、市が45%を負担する。
松井氏によると、代替路を整備する場合、さらに数十億円がかかる見通しという。
淀川左岸線は万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)付近へつながる高速道路網の一部で、2期区間は海老江(大阪市此花区)―豊崎(同市北区)間の総延長4・4キロ。市は淀川の堤防を開削し、箱形のトンネル(東西各2車線)を埋設する。周辺環境への影響を考慮し、完成時は大部分がトンネル構造となる。
開通は当初8年度末を予定していたが、万博開幕に間に合うよう工期を2年前倒し。7年4~10月の万博会期中には、新大阪駅や大阪駅などから万博来場者を運ぶシャトルバスの専用道としての使用を想定する。