【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日、米下院金融委員会の公聴会に臨んだ。今月中に「金利の引き上げが適切になると思う」と述べ、0・25%の利上げ幅を提案する意向を表明した。ウクライナ侵攻とロシア制裁の影響は「極めて不透明だ」と指摘する一方、対露制裁が米金融システムに及ぼす悪影響は限定的だとした。

FRBは今月15、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。パウエル氏は、物価上昇率が「2%を大きく上回っている」と指摘。今月中に事実上のゼロ金利政策を解除し、物価抑制に乗り出す意向を強調した。最初の利上げ幅は0・25%を提案する方向に「傾いている」と述べた。
インフレは年内に収まっていくとの従来の見通しを維持。物価が想定より上昇する場合は「(ゼロ金利解除後の複数の会合で)0・25%を上回る一段と積極的な利上げを行っていくかもしれない」と述べた。金融市場ではインフレ制御のため0・5%の上げ幅を予想する見方がある。
ウクライナ危機をめぐりパウエル氏は、「短期的な影響」は見通せないとし、「景気が予期せぬ形で変わる」可能性を踏まえ、柔軟に金融政策を進める必要があるとした。国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの一部の金融機関を排除する米欧の制裁について、同氏は「米国の金融システムや金融機関は、リスクとなるロシアとの取引が少ない」と述べ、現状では懸念していないとした。