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緊迫するウクライナ情勢 ミラノに住むぼくが真っ先に危惧したこと

ぼくが思い出したグレゴールのもう一つのテーマは、2019年にみた彼の展覧会だ。世界各地にある「ポチョムキン村」の存在である。モックタウンとも呼ばれる。地上戦を想定した軍事目的のための「かきわりの街」だ。

ポチョムキン村(c) Gregor Sailer
ポチョムキン村(c) Gregor Sailer

帝政ロシアの時代、女帝エカチェリーナ2世の愛人でもあったグレゴリー・アレクサンドロヴィチ・ポチョムキン(公爵・陸軍大将)が、1787年、クリミアに壮大なハリボテの街を作った。女帝が視察するルートを建物の正面部分だけで囲ったのだ。

このモックタウンが、軍事予算によって欧州各国に存在するとグレゴールの展覧会から知った。彼がこれをテーマにしたのは、プーチン大統領がモスクワ近郊にはりぼての街を建設中だと知り、「それなら欧州各国にもあるはず」と直感が働いたのである。

ぼくは地上戦を想定しているのに驚いた。21世紀の欧州内戦争とは無人兵器にみるように、衛星を使った空中戦ではないのか?と思い込んでいた。

グレゴールは「もちろん、その準備も進めているが、ポチョムキン村の建設に莫大な予算を各国の軍事組織が使っているのをみると、地上戦も想定していることは明らかだ」と話してくれた。

ぼくは戦争が高度に複雑な戦略に向かう一方、極めて原始的な方法も堅持していることに気づき、自らの視野の狭さに恥じ入った。

2月24日以降、マスメディアやソーシャルメディアに流れてくる数々の戦いの写真や動画をみながら、グレゴールが追ってきたテーマが如何に「先端」であったかと思う。

彼の写真はデジタルではない。フィルムなのだ。あの嗅覚の良さは、古い技術への拘りと関係するのかもしれない。そう、揺れる世界の一角で考えるのである。


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