さらにロシア・ウクライナ情勢がもたらした原油価格の高騰は自動車需要への逆風となる。ロシアは米国やサウジアラビアと肩を並べる世界有数の産油国で、欧州にも多くの原油を輸出している。経済制裁の結果、ロシア産原油の西側への輸出が滞るとの見方から、原油価格は上昇を続けており、ニューヨーク原油先物相場の指標となる米国産標準油種(WTI)の翌月渡しは「1バレル=140ドル台の過去最高値水準に達する可能性がある」(大手証券)ともみられている。原油高が招くガソリン高は消費者が自動車購入を敬遠する動きにつながりかねない。
国際情勢の激変は、中古車を含む自動車市場全体の見通しを不透明にしている。世界中で進む環境規制強化などで「100年に一度の大変革期」といわれる自動車業界は、新たな難題への対応も迫られている形だ。
■買い取り価格の値崩れは先?
ただ、中古車の買い取り価格に関しては、すぐには値崩れしないとの見方も成り立つ。中古車業界は通常、年度末の3月に売り上げ目標の達成に向けた商戦を展開する。国際情勢の急変があったにせよ、売れ残りの心配がない人気の車種や良好な状態の中古車であれば、国内の需要の強さをあてこんで積極的な買い取りが続く可能性もある。
また、中古車人気の背景には新型コロナウイルスの感染拡大で「密」を避けられる、比較的安価な移動手段としての側面もある。年度末は春からの新生活への準備のために自動車の需要が高まる時期でもあるだけに、中古車関連企業は海外情勢だけに目を向けていれば商機を逃しかねない。
もしも個人が手持ちのマイカーを高値で売却したいのであれば、3月までの商戦に乗ることが肝要かもしれない。