失業手当を受給している間は扶養に入れる? 受給中の扶養について解説

はじめに

退職後、場合によってはしばらくの間「他の家族の扶養に入りたい」と考える方もいるでしょう。年金や保険料など、被扶養者が受けられる恩恵は大きいもの。一方で気になるのが、「失業保険を受け取りながら家族の被扶養者になれるのかどうか」ではないでしょうか。

そこで今回は、被扶養者になるための認定基準や、被扶養者と失業手当の関係について解説します。

被扶養者の認定基準は?

※画像はイメージです(GettyImages)
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まずは、被扶養者となるにはどのような基準を満たす必要があるのかを見ていきましょう。働いている他の家族の扶養に入るためには、いくつかの条件に合致する必要がありますが、税法上、社会保険(年金や健康保険)上でその基準は異なります。

以下は、それぞれの被扶養者の認定基準の一例です。

【税法上の場合】

・妻や夫といった配偶者であること

・6親等内の血族および3親等内の姻族であること

・養う本人と生計と同じくしていること

・所得が48万円以下であること

【社会保険上の場合】

・被保険者の配偶者や子ども、孫、兄弟姉妹など健康保険法に定められる被扶養者に合致する者

・日本に住んでいること

・被保険者が、対象者の経済面(生活費など)を主に負担していること

・対象者の年収が、被保険者の年収の半分未満であること

以上の条件はあくまで一部であり、同居・別居などさらに詳細な認定を受けなければならない場合も。また、健康保険の場合は加入している協会・組合によって一部基準が異なるケースがあるため、要件をしっかり確認する必要があるでしょう。

被扶養者の収入の範囲について

被扶養者となるには、上記の基準と合わせて「収入の範囲」もチェックしておくべきです。被扶養者の収入(年収)は税法上では「103万円」、社会保険の場合は「130万円未満」であることが定められています。

また、同時に「収入」には何が該当するのかも見ておかなければなりません。ときに、税法上では収入ではないとされるものが、健康保険上では収入となる場合があるためです。たとえば、年金や失業・傷病手当、給付といった公的なものは税法上は非課税となり収入とは判定されていませんが、社会保険上では収入となります。

そのため、自身の受け取っている給付などの金銭が「収入」かどうか、しっかりと調べておくべきでしょう。

被扶養者でも失業手当を受け取れる?

先ほど解説した通り、税法上では手当や給付は収入とはなりませんが、社会保険上では「失業手当」は収入となるため、受給額によっては扶養の対象外となります。

ただし、受給が始まるまでの期間と終了後、そして手当の金額次第では受給中も扶養に入れるケースも。ここでは、退職した理由別に手当と被扶養者(社会保険上の場合)の関係について解説します。

自己都合退職の場合

「一身上の都合」や転職目的など、自身の都合により退職した場合は、先ほども述べたとおり手当が受給できない「待期期間(7日間)」と、「給付制限期間(約3カ月)」の間は被扶養者としての認定が受けられます。

この場合は、失業の状態かつ無収入のため、「被保険者である他の家族によって生計が支えられていること」など、他の基準により認定を受けることになるでしょう。受給が始まってからは、1日あたりに受け取れる手当の金額(基本手当日額)によって、被扶養者継続となるか否かが決まります。

扶養認定の基準額(3,612円、60歳以上などは5,000円)を下回っていれば引き続き認定対象となり、逆に超えている場合は対象外となるため、受給開始日から扶養削除の手続きに入る必要があります。再び扶養に入るためには、受給終了後に再度手続きを行わなければなりません。

会社都合退職の場合

リストラや雇止めなど、会社の都合により退職し手当を受け取る場合は、自己都合とは異なり給付の制限期間がないため、退職した日の翌日から認定の対象となり得ます。そして、受給が始まってからは、自己都合の場合と同じように「基本手当日額」が、扶養継続の判断基準となるでしょう。

日額が基準の金額を下回っている場合は引き続き対象となり、日額が超えた場合は受給の終了日まで認定の対象外となるため、不要削除の手続きが必須となります。

失業手当受給により扶養から外れるための手続き

手当を受け取るために「扶養から外れたい」という場合、必ず扶養削除申請を行いましょう。手続きには、加入している健康保険などにより一部申請書や必要な書類が異なるケースがありますが、主に以下の書類を加入している協会、もしくは組合に提出します。

・被扶養者(異動)届

・雇用保険受給資格者証のコピー

・対象者(手当を受給する被扶養者)の保険証

異動届は扶養から削除するため、受給資格者証のコピーは削除の理由を示すために必要です。また、被扶養者でなくなったらその時点でこれまでの保険証は使用できなくなるため、忘れずに返却するようにしましょう。

なお、税法上の扶養の場合は、失業手当は収入と見なされず収入額が変動することはないと考えられるため、特別な手続きは基本的に必要ないと考えられます。

手続きを行っていない・遅れた場合の注意点

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うっかり失念していた、もしくは遅れてしまったなどにより、受給開始後も手続きを行わず健康保険の被扶養者でいたというケースでは、その時点でただちに削除の手続きを行いましょう。場合によっては、「医療費の返還請求」を受けてしまう可能性があります。

健康保険の扶養内で使用できる保険証は、あくまで「条件を満たした被扶養者」を対象にしたもの。そのため、資格喪失後にもかかわらずその保険証を用いて診療費3割負担で医療機関の受診はできません。よって万一受診してしまった場合、のちに保険が負担していた医療費の7割を返さなければならないのです。

そのような事態を防ぐためにも、受給や扶養の申請や手続きを行う場合は前もって注意し、もし手続き漏れや遅れが生じた場合はその時点で早急に申請を行うべきです。なお、会社員や公務員の扶養である「第3号被保険者」はさかのぼって認定を受けられるため、すでに納付した国民保険料などは返還されますが、健康保険はさかのぼることはできませんので、その点も留意しておくべきでしょう。

失業手当受給完了後に扶養に戻るための手続き

「手当を受給し終わったので、また扶養に戻りたい」という場合は、再度加入手続きを行いましょう。手続きには、主に経済的な負担をしている他の家族(被保険者)の加入している組合に向けて、以下の書類を提出する必要があります。

・「受給終了」と印字がされている雇用保険受給資格者証のコピー(※必ず両面コピーすること)

・被扶養者異動届

雇用保険受給資格者証は、手当を全て受け取り、再び収入がなくなった、もしくは認定基準を満たしたことを証明する書類となります。また、削除時と同じく、異動届の提出が必須となるので忘れないようにしましょう。

被扶養者の加入は、受給が終了した日の次の日から申請が可能です。なお、提出時に必要な添付書類などは、加入している組合や協会によっても異なる場合があるため、確認を怠らないことが大切です。

失業手当受給中に被扶養者になれる?

ここまで説明した通り、失業手当を受け取りながら年金や健康保険上の被扶養者になるためには、手当の「基本手当日額」が認定の基準を満たしていることが必須と言えます。3,612円未満の金額、60歳以上であれば5,000円未満であれば、手当を受給している間も被扶養者となれるのです。

ただ、1日の基本手当日額がこの金額を超えている場合、税法上の扶養では失業手当は収入ではないため問題ありませんが、社会保険上では収入と見なされているため、扶養に入ることはできません。そのため、受給前後は加入できていても、受給が始まったら被扶養者から抜けるための削除申請を行わなければなりません。

よって、「失業手当を受給している間も健康保険の被扶養者になりたい」という場合は、基本手当日額をしっかり確認しておくべきと言えるでしょう。

まとめ

今回は、失業手当の受給と扶養の関係について解説しました。被扶養者になることはさまざまな利点がありますが、加入には「扶養」の定義や認定基準をしっかり確かめておく必要があるでしょう。失業手当は税法上、社会保険上で「収入」となるかどうかがわかれる項目です。

そのため、手当を受け取りながら被扶養者になることを考えるならば、申請遅れやミスがないよう注意しましょう。

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