ジャパンタクシー トヨタイズムの神髄、ここにあり!

    気が付くと街のタクシーが見る見るうちにトヨタジャパンタクシー(JPNTAXI)になっていることに気が付きました。東京オリンピック2020に向けてタクシー車両の買い替えが加速した東京では特にそうで、タクシーと言えばもはやジャパンタクシーと言っても過言ではないほどの一色染め感がでてきたのです。

    日本のタクシーを再定義する(写真筆者)
    日本のタクシーを再定義する(写真筆者)

    これは開発製造元のトヨタ自動車のねらい自体が、日本市場におけるタクシーのスタンダードを再定義することだったわけだから、まさに狙い通りの展開と言えるはずです。ホームページ上には「次の日本に、いらっしゃいませ。」とあります。訪日外国人(現状は残念な状況ではありますが)を含めたすべての利用者に、日本のホスピタリティの神髄を感じさせようという意気込みがあふれたコピーであるように思います。

    実際に多く採用されている=街で見かけるメーカー推奨のボディーカラーが、海外でジャパンブルーと称されてきたという伝統色「深藍(こいあい)」、ほとんど黒に見えるほど深みのある藍色である点も、誠にシックで好感がもてる部分です。

    それまでの法人タクシーと言えば、目立てば稼げる目立ったもの勝ちという粗っぽい謎の伝統理論で、赤青黄色とあらゆる色合いと模様の氾濫状態で、「ロスト・イン・トランスレーション」などの外国映画が表現する日本の都市が放つエキゾチシズムの象徴的情景ではありましたが、やはり「次の日本」にはこれぐらい文明的な方がふさわしいと感じます。

    合理性を追求したら独特なクルマが出来上がった

    すでに見慣れたこのジャパンタクシー、あらためてしげしげ見れば、本当にユニークな自動車ではあるのです。まずフォルム、車形(しゃけい)が他に似たものがありません。今流行りのワゴンタイプのワンボックス型でも、かつてのクラウン、セドリックのセダン型タクシー時代のスリーボックス型でもない、2ボックスの車形は、もう少し車高の高い大型のSUVなどでこそ採用されていますが、このサイズではかなり異例です。ハッチバック型の空間効率を基本に、前方にクラッシャブルゾーン(衝突時につぶれて乗員を守る)を確保したゆえの合理的形状に違いありませんが、悪い意味でなくチョロQ的な親近感さえ感じる独自スタイルなのです。

    とにかくロンドンタクシーなどにもインスパイアされただろう、高い車高は、乗降のしやすさもさることながら、意外とつらい強く寝かされる着座姿勢を強いられることなく自然で圧迫感の少ない客室空間を生んでいます。

    天井には後席へのエアコン吹き出し口や照明で“おもてなし機能”が“らしさ”満点ですし、特に左右に取り付けられた大きなグリップハンドルなどはユニバーサルデザインの観点からも、まさにタクシーこそに求められていた装備に違いありません。また、コロナの環境もあって、後席の背後には空気清浄機、運転席との間にピタリと隙間も少なく大きな面積で客席を仕切る透明なパーテーションは、客席にも、そして何よりも長時間勤務を車内で続ける運転手さんつまりタクシー車両を購買する主体となる運営企業側にとっても大きな安心感を与える装備と言えます。


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