知的障害者による図書館利用を支援する取り組みを生駒市図書館(奈良県生駒市)が進めている。館内整理による月1回の休館日を活用し、昨年夏から市内の知的障害者を対象に開放。今月19日からは「読書サポートボランティア」の養成講座を開き、講座を修了した人に図書館や障害者施設での読み聞かせなどの活動をしてもらう計画だ。
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平成28年に障害者差別解消法が施行され、公立図書館においては障害者への合理的配慮の提供が義務化。一般の書籍を読むことが難しい人向けに書かれた「LLブック」のコーナーを設けるなど、支援の動きが見られるようになってきた。
しかし、「読みたい本がどこにあるのか分からない」「静かにできない」などの理由で、利用を控えている障害者は多いとされる。
館内整理日に図書館を利用しているのは、社会福祉法人いこま福祉会が運営する知的障害者支援センター「かざぐるま」の利用者たち。図書館員による読み聞かせや、絵本の閲覧を楽しんでいる。
かざぐるまの高曲友理子施設長によると、自分で貸し出しと返却ができる人もいれば、声を出してしまう人や周囲に注意を払うことができず同じ場所から動かない人など事情はさまざま。「図書館員の声かけや市民の理解があれば普段の開館日でも利用できる人は多い」と同館の取り組みに期待する。
同館では以前にも、言語コミュニケーション障害学や特別支援教育を研究する新潟リハビリテーション大学の藤沢和子教授らとともに、知的障害者の読書サポート講座を開いている。新型コロナウイルスの影響で取り組みは思うように進んでいなかったが、養成講座の再開を機に本格化していく考えだ。
養成講座は3月19、26、28日の3日間で受講者を募集している。講師は、藤沢さんや、日本図書館協会障害者サービス委員会関西委員の山田友香さん、ダウン症研究所の吉田くすほみさんら。対象は、継続してボランティア活動をする意思があり、全日程参加できる人。受講無料。
西野貴子館長は「誰もが気兼ねなく利用できる図書館の環境づくりを目指して、一歩一歩進めていきたい」と話している。問い合わせは同館(0743・75・5000)。