東日本大震災の脅威と被害の実態、そして、そこから得られる教訓を後世に伝えるための「震災伝承施設」が被災地に整備されている。平成23年3月11日の震災から11年が経過するとともに、新型コロナウイルス禍を受け、風化の懸念に加え、対面での伝承の難しさも課題となる中、施設をどう利活用していくかが問われることになりそうだ。
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「つらい記憶が思い出されるので解体すべきだ」
「津波の脅威を語り継ぐために保存すべきだ」
津波の爪痕を残した建物は、解体か保存かで地元の意見が割れてきた。震災で唯一、首長が犠牲になった岩手県大槌町の旧役場庁舎のように、すでに失われたものも少なくない。だからこそ、現存しているものについては、あらゆる思いが宿っていることを再認識した上で、震災を知らない世代にも伝えていく場とすることが求められる。
国土交通省東北地方整備局などでつくる「震災伝承ネットワーク協議会事務局」によると、今年2月に宮城県女川町の「旧女川交番」など、新たに13件が追加登録された。
これにより、施設の登録総数は計302件。県別では青森県内8件▽岩手県内119件▽宮城県内134件▽福島県内41件-となっている。
協議会では登録施設を震災の記憶をたどる「伝承ロード」として結び、教訓を伝える取り組みを進めている。