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ガソリン3分、EV数時間…脱炭素に隠れた「充電コスト」をどう考える?

EVは「時間コスト」的に退化?

話は変わるが、最近ではEVが走る上での「充電コスト」という考え方が芽生えている。

ガソリン車が走るためには燃料が欠かせないが、ガソリンスタンドで3分程度の時間で給油さえすれば、相当長い時間を走行できる。例えばトヨタ「アクアHV」のような効率の良いクルマは1リッターのガソリンで36.0キロ(国土交通省審査値WLECモード燃料消費率)も走る。燃料タンク容量は36リッター。満タンから燃料切れまでに約1296キロ。ガソリンスタンドでの3分ほどの給油で、東京から九州最南端まで無給油で走れることになる。あくまで計算上の話だが、現実的にも東京-福岡間をノンストップで走破することも可能である。

一方のEVではこう簡単にはいかない。EVが1296キロを走るには相当の電力を溜め込まなければならず、おそらく、自宅の200V普通充電器ではおそらく1週間以上。充電時間はクルマによっても、あるいは急速充電器の性能によっても数時間に及ぶ充電が必要だ。

バッテリーの充電性能は、温度によっても極端に変化する。ガソリンエンジンのように安易に計算できない。ともかく途方もない時間を費やすこともある。そもそも最長航続距離が1000キロを超えるモデルは今のところ地球上に存在しないのだ。

ならば旅の途中で急速充電を繰り返しながら目的地を目指すことになる。仮にガソリン車とEV車が東京から西に移動したら、おそらく500キロ近い差になるのではないだろうか。

人が活動する時間をコストと考えるならば、ガソリン車はEVよりも圧倒的に低コストなのだ。クルマの進歩は移動時間短縮の進歩でもある。

とはいえ、EVを否定しているわけではない。ガソリン車だけを擁護しているのとも違う。近所の往復が主な移動距離であり、自宅に200Vの普通充電器があるのであれば、夜間に格安で電力を補充することができる。時間的コストは、わずか3分とはいえガソリンスタンドに寄るよりも時間的コストは節約できる。

ガソリンが良いのか、EVが優れているのかの判断は、人それぞれのクルマとの接し方で変わるものだ。ただ、環境意識と並行して、時間をコストと認識するのも大切なような気もする。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。


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