はじめに
「退職届を都合により郵送で提出することになった」という場合、退職届の他に「添え状」を同封し郵送するのがマナーとされています。しかし、「添え状ってそもそも何?」という方や、「知ってはいるけど、具体的に何を書けばいいのかはわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、添え状の役割や作成時のポイント、作成に役立つテンプレートを紹介します。
退職届を郵送する際に添え状を同封するのはマナー
「添え状」について、人によってはあまり聞き馴染みがないという方もいるかもしれません。しかし、重要な書類の郵送において添え状を同封するのは、ビジネスマナーの一環でもあるのです。ここでは、添え状とはそもそも何か、そしてなぜ必要なのか解説します。
▼そもそも「添え状」とは?
「添え状」は送付状とも呼ばれ、企業へ履歴書や職務経歴書、退職届といった重要な書類を郵送する際に同封するものです。主に、重要書類を送付した旨を伝えるために活用します。また、添え状は挨拶の役割を果たす一面も。
本来、退職届や履歴書といった大切な書類は、挨拶とともに直接相手に手渡すのがマナーであるとされています。添え状は、「本当ならば対面で行うべきであった挨拶」を、書面にて行える書類であるとも言えるのです。
▼添え状が必要な理由は?
「添え状」が必要な理由は、主に以下の3点にあります。
- 挨拶状としての役割を果たすため
- 同封された書類の中身を知らせるための「表書き」として
- 補足事項の説明のため
添え状の「挨拶文」としての役割については、先ほど解説した通りです。そして、添え状は同時に「この書類が一体何で、誰が何のために送ったのか」を伝える大事な役割を果たします。
たとえば、郵送で退職届を送る場合、添え状が無ければ一体誰が、どういう意図で送った退職届なのか、中身を全て改める必要があるため確認に時間がかかります。添え状は、「誰が、何のために、どんな内容の書類を」送ったのかを一見してわかるように記載するため、相手の時間の無駄を省くことにつながります。
最後の補足事項は、書類の中では伝えきれなかった情報を付け足して伝えることが可能です。退職届の場合ならば、「会社に対するお世話になった気持ち、感謝」をここで伝えるのもよいでしょう。
退職届の添え状を作成するポイント
ここからは、上記で解説した添え状を実際に作成するときに気をつけたいポイントを紹介します。
▼添え状は手書きとパソコンどちらでもいい?
まず、添え状の作成方法ですが、手書き、パソコンどちらを選んでも構いません。ただ、退職届をすでに作成しているのであれば、そのフォーマットに合わせて作成するのがおすすめです。
たとえば、退職届をパソコンで作成したのであれば同じくパソコンを使用し、手書きならば添え状も同様に手書きを選択します。縦書き、横書きについても同様で、基本的に退職届の形式に合わせておきましょう。
▼添え状の用紙について
添え状の用紙は、退職届に使用したものと同じサイズのものを選択するとよいでしょう。大きさを揃えることで、より丁寧な印象を与えやすくなります。
たとえば、退職届をA4用紙で作成したにもかかわらず、添え状はB5、もしくは便箋など別の用紙を使用した場合、封筒に入れる際のバランスが悪くなってしまうだけでなく、受け取った相手によっては「配慮が足りていない」と受け取られる場合も。そのような事態を未然に避けるべく、用紙の大きさはできる限り揃えておきましょう。
▼退職届の添え状に盛り込むべき内容
書き方、用紙のサイズを決めたら、内容を記入します。添え状には、主に以下の4点を記載するようにしましょう。
- 作成した日付
- 宛先(社名、所属していた部署、上司の名前など)
- 自身の所属していた部署、氏名
- 本文(退職届を送付した旨を記載)
作成日時や宛先、差出人(本人の氏名)などの基本情報は、必ず記載漏れがないようにします。そして、本文ではビジネスマナーに即した時候の挨拶を欠かさず、退職届を郵送にて送付したことを伝えます。
また、たとえ退職するとは言え、一定期間会社で勤務した事実は変わりません。そのため、可能であれば本文中に会社への感謝の気持ちをつづるとよいでしょう。マナーとしてだけではなく、いち社会人として誠意のある文章を書くことが大切です。
▼添え状の折り方と封筒への入れ方
添え状は原則として、退職届の用紙と同じく三つ折りにしましょう。三つ折りは、まず用紙の下1/3を折った後、上から1/3を重ねるように折り込むときれいに仕上がります。
郵送用の封筒へ添え状を入れるときは、別途封筒に入れた退職届の上に添え状を重ねた状態にします。こうすることで、外から見た時に透けにくくなり、中身が退職届であることを無関係の第三者に悟らせづらくなる効果が得られるのです。
また、郵送用の封筒には宛先など必要事項の他に、「親展」と書き添えておくのがおすすめです。宛先の相手以外が間違って開けてしまうことを防げます。
退職届の添え状のテンプレート
ここからは、退職届に同封する添え状のテンプレートについて、手書きの場合、横書き(PCにて作成)の場合を解説とともに紹介します。
【手書きのテンプレート】
拝啓 秋風が吹き抜ける秋天の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度、諸般の都合により、貴社を退職させていただくことになりました。
同封の通り、退職届を提出いたしますので、ご査収の程、よろしくお願い申し上げます。
突然の退職により、貴社の皆様に大変なご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫びいたします。
短い間ではありましたが、大変お世話になりました。
末筆ではございますが、貴社の更なるご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
令和〇年10月×日
××部△課 〇〇△△(自身の氏名)
◇◇株式会社
××部△課 課長 ●●様(上司の氏名)
手書きで添え状を作成するにあたっては、必ず黒のボールペンや万年筆を使用し、読みやすい綺麗な字で書くことを心がけましょう。読みづらい字や汚い字では、「マナー違反」と見なされる可能性も。
そのため、内容や気持ちが伝わるよう丁寧に記入することが大切です。そして、手書きの場合は「縦書き」を選択する場合もあるかと思います。その際は、数字の表記を縦書きの決まりに合わせ、「漢数字」で書くように注意するとよいでしょう。
【横書きのテンプレート(PC使用の場合)】
令和〇年10月×日
◇◇株式会社
××部△課 課長 ●●様(上司の氏名)
××部△課 〇〇△△(自身の氏名)※配置は右寄せが望ましい
拝啓 時下、貴社におかれましては益々ご清祥のことと存じます。
この度、一身上の都合により、貴社を退職させて頂くこととなりました。
つきましては、同封の通り退職届を提出いたしますので、ご査収のほど、よろしくお願いいたします。
短い間ではありましたが、大変お世話になりました。
末筆ではございますが、貴社の更なるご清栄をお祈り申し上げます。
敬具 ※配置は右寄せが望ましい
横書きで作成するケースでは、手書きの場合と同じく数字の表記に注意しましょう。横書きは一般的に算用数字を使用するため、漢数字は避けるのが無難と言えます。
まとめ
退職届は、本来ならば自身が直接会社や上司の元へ出向き提出するべきというイメージが根強いもの。そのため、届を郵送で提出するならば、マナー違反と受け取られかねないようによりいっそうの注意が必要です。
添え状は、形式上の挨拶や表書きとしての役割だけではなく、退職届の本文では伝えきれない感謝の気持ちも伝えられるもの。そのため、丁寧に内容を作成するように心がけましょう。