【北京=三塚聖平】日中関係は今年9月の国交正常化50年を前に緊張含みだ。米国が同盟国などに呼び掛ける「対中包囲網」への関与をめぐり、習近平政権は日本を牽制(けんせい)し、不透明感が強まっている。
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「他人のために火中の栗を拾うべきではない」。中国の王毅(おうき)国務委員兼外相は7日の記者会見で、こう語気を強めた。「冷戦時代の同盟や、地政学的な対立は既に人心を得ない」と述べ、対中を念頭に置いた日米豪印の協力枠組み「クアッド」などに加わる日本にクギを刺した。
昨年春、日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が中国を名指しして批判したことで、習政権は態度を硬化。米中間の主要対立点の一つである台湾問題に日本が関与を深めることを特に警戒し、安倍晋三元首相が昨年12月、「台湾有事は日本有事だ」と発言すると、中国外務省が垂(たるみ)秀夫駐中国日本大使を呼び出した。
今年2月には、日本人男性が昨年12月に上海で中国当局に拘束されたことが表面化。最近も北京で日本大使館員が中国当局に一時拘束された。外交に関するウィーン条約に明白に違反しているとして日本側が厳重な抗議を行ったのに対し、中国側も「身分と合致しない活動をしていた」と反発する事態となった。
習政権も、対米など国際関係をにらんで日中関係の極端な悪化は望んでいないとの見方もあるが、国交正常化50年を前に関係改善に向けた糸口すら見えないのが現状だ。