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日本は世界最高水準…小田急電鉄、飲料メーカーが取り組むリサイクル最前線!

海外経験や海外の事情に詳しい日本人が「欧米では…」などと環境対策やリサイクルの先進事例を紹介し、返す刀で日本の劣った現状を批判することがある。俗に「出羽守」(でわのかみ)と呼ばれるが、ペットボトルのリサイクルについて言えば、さすがの「出羽守」も出番は少ないだろう。というのも、日本は世界最高水準の「先進国」だからだ。飲料業界だけでなく、鉄道会社も率先してペットボトルを分別回収している。捨てられたペットボトルからペットボトルを再生する「水平リサイクル」とは何か。最前線を追った。

小田急電鉄全駅の中で最も多くの乗客が利用する新宿駅6番ホームに設置されたリサイクルステーション=2021年12月15日、東京都新宿区(SankeiBiz編集部)
小田急電鉄全駅の中で最も多くの乗客が利用する新宿駅6番ホームに設置されたリサイクルステーション=2021年12月15日、東京都新宿区(SankeiBiz編集部)

ペットボトルに生まれ変わるのは1~2割

1日に約350万人が利用する世界一の巨大ターミナル、新宿駅の一角に異彩を放つゴミ箱がある。正しくはゴミ箱ではない。「リサイクルステーション」だ。白地のボックスに目立つ色でボトルやキャップ、ラベルと書かれており、ペットボトルの飲み残しも分別して捨てられるようになっている。

設置されているのは、小田急電鉄全駅の中で最も多くの乗客が利用する6番ホーム。小田急電鉄生活事業推進部の今野顕一さんは「多くのお客さまに環境問題について呼びかけたいと考え、小田急を代表する場所に設置した」と明かす。

PETボトルリサイクル推進協議会によると、ペットボトルの回収率は96.7%。リサイクル率も88.5%と2~4割程度の欧米諸国と比べてもかなり高い。熱エネルギーとして再利用する「サーマルリサイクル」も含めれば、約98%が有効利用されている。商品に保証金を上乗せして販売し、回収の際にそのお金を返却する「デポジット制度」を導入し、国を挙げてリサイクルに取り組むノルウェーにも匹敵する高い水準だ。

しかし、回収されたペットボトルは、必ずしもまたペットボトルに再生されるわけではない。多くは「カスケードリサイクル」と呼ばれる別用途の製品に生まれ変わるルートをたどる。ペットボトルであれば、再生品は駅のベンチや食品のトレー、繊維といった具合だ。とはいえ、別の製品になっても1回の使用だけで焼却されることも少なくない。使用済みのペットボトルが新たなボトルに生まれ変わる割合は全体の1~2割ほどにすぎないのが現状だ。

専用リサイクルBOXを設置したら分別率が14倍に

一方、ペットボトルをペットボトルに再生させる手法は「水平リサイクル」と呼ばれる。新たな資源をほとんど投入せず、ペットボトルを半永久的にリサイクルすることができるため、リサイクルの理想型といえる。だが、これまでは異物や汚れによる劣化が、この水平リサイクルを阻んできた。同じ品質に再生するためには異物の混入を避けなければならない。

小田急電鉄生活事業推進部でペットボトルエコロジー事業を担当する松島美佐子さんは「不純物が混ざってしまうと、『ボトルtoボトル』のリサイクルができません」と解説する。新宿駅のリサイクルステーションでは飲み残しも回収しなければならず、その分、係員の負担も増えるが、同電鉄は「一歩一歩前へ進めていかなければならない大切な事業」(松島さん)と位置づけている。

リサイクルステーションを設置した効果は顕著だった。小田急が昨年3~6月に行った実証実験では、キャップの分別率が4%から56%と14倍も上昇。ラベルの分別率も3%から34%と約11倍向上した。一方、ペットボトル以外のごみが捨てられる異物混入率は15%から1%に低下しており、駅利用者の意識にも大きな変化があったことがうかがえる。分別率が上がったことで約2800本の再生ペットボトルに相当する資源を回収することができたといい、松島さんは「分別率100%、異物混入率0%が目標です」と前を見据える。


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