社内システムにナビがつく? トヨタや三菱UFJも導入したSaaSがすごい

プログラミングの知識がなくてもアプリケーションを構築できる「ノーコード」開発プラットフォームの需要が高まっている。あらゆる分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)の変革が進み、ITエンジニアの人材不足が叫ばれる中、専門知識がなくてもシステムをカスタマイズできるからだ。中でも、「デジタルデバイド」(情報格差)や作業ミスを解消する有力なツールとして、ソフトウェアの画面上に操作ガイドを表示し、ユーザーの操作をサポートするナビゲーションが注目されている。

「誰でもマニュアルレスで複雑なシステムを活用できる」と語るテックタッチの井無田仲社長(SankeiBiz編集部)
「誰でもマニュアルレスで複雑なシステムを活用できる」と語るテックタッチの井無田仲社長(SankeiBiz編集部)

現場主導で「システムを使いやすく改良」

「大企業の課題の一つに社員の高齢化があります。ベテラン社員はITリテラシーが高くないことも多く、企業が導入した新しいシステムを導入した際、慣れることに負担を感じてしまう。誰でもマニュアルレスで複雑なシステムを活用できるようなプラットフォームを開発しました」と語るのは、インターネット経由でソフトウェアを利用するSaaS(サース)企業「テックタッチ」(東京都千代田区)の井無田仲=いむた・なか=社長(41)だ。パソコンの画面に表示される「取引先名を入力してください」「クリックしてください」といったガイドに従って操作することで、誰でも正しい情報を入力することができる仕組みになっている。車でたとえれば、カーナビがついているようなものだ。

パソコンの画面に表示される「クリックしてください」といったガイドに従って操作することで、誰でも正しい情報を入力することができる(テックタッチ提供)
パソコンの画面に表示される「クリックしてください」といったガイドに従って操作することで、誰でも正しい情報を入力することができる(テックタッチ提供)

こうしたシステム向けのナビの開発では、カーナビの地図が全国共通であるのとは異なり、企業のシステムは1つではないことがハードルになる。経費精算からコールセンターの入力画面までナビをする対象も千差万別だ。このため、これまでは社員向けの操作ガイドを作成する場合、専門の知識を持つITエンジニアが各社のシステムに合わせてナビシステムを開発する必要があった。

だが、同社が開発した社名と同名のプラットフォーム「テックタッチ」は、ソースコードを1文字も書けない現場の人材でもナビ機能を追加できるのが特徴だ。ノーコードとはいえ、井無田社長は「現場主導でシステム開発に近いイメージで構築できる」と胸を張る。

2019年からサービスの提供を開始し、すでにトヨタ自動車や三菱UFJ銀行、鹿島建設、代々木ゼミナールなどさまざま企業で導入が進む。

あらかじめ入力方法をガイドしておけば、オペレーターによって入力内容がぶれる心配がない(テックタッチ提供)

オペレーターの入力ミス100%削減

携帯電話の販売などを手掛けるコネクシオ(同)のコンタクトセンターでは、テックタッチの導入でオペレーターによる入力ミスを100%削減することに成功したという。「画面上で操作を導いていき、誤ったオペレーションをしたとしても画面上で物理的に入力できないようになっていますから、必然的に入力ミスが起きないわけです」(井無田社長)。

井無田社長は「画面上で操作を導いていき、誤ったオペレーションをしたとしても画面上で物理的に入力できないようになっているので必然的に入力ミスが起きない」と語る(SankeiBiz編集部)

用字や用語が統一されていない「表記ゆれ」を防ぐこともできるという。例えば、「株式会社」と入力すべきところを、誤って「(株)」と入力してしまうと、「名寄せ」と呼ばれるデータの統一作業が必要になる。こうした表記ゆれは、半角英数字を使うか全角英数字を使うかなど枚挙にいとまがないが、あらかじめ入力方法をガイドしておけば、オペレーターによって入力内容がぶれる心配がない。また、入力項目によってガイドに表示される内容も自由に変えられ、次の操作が分からなくなったときにマウスで該当箇所にカーソルを重ねると注釈を表示する機能もあるという。

企業が新しいシステムを導入したり更新したりする際は、こうした操作ガイドの作成のため、社内SE(システムエンジニア)などデジタル人材に業務が集中しがちだった。だが、ノーコード開発プラットフォームを使えば、プログラミングの知識のない営業統括部門や財務部門の担当者でも実装することが可能になるという。現場がある程度自由にカスタマイズやローカライズできるのも利点だろう。

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