独立系ITコンサルティング・調査会社のアイ・ティ・アール(ITR、東京)によると、国内のローコード/ノーコード開発市場の2020年度の売上金額は515億8000万円で、前年度比24.3%増となった。市場に影響力のある上位ベンダーの売り上げが伸長し、市場を牽引しているという。ITRは「高品質でメンテナンスが容易なアプリケーションの開発が可能というメリットのほか、内製化による開発コストの大幅な削減にも寄与することから今後も導入が進む」と予想している。テックタッチのノーコード開発プラットフォームは、そうした需要を先取りしたサービスといえる。
金融業界出身の創業者「使いづらいシステム不満だった」
「汎用性の高いシステムなので、今後は住民票の電子申請などの自治体のシステムや官公庁でも活用できるはずです。オペレーションやシステムが複雑な分野、いわゆる『現場』の多い店舗系やカーディーラーなどでもニーズが高まってくるのではないかと思っています」
こう前を見据えるテックタッチの井無田社長だが、その経歴は異色だ。慶應義塾大学を卒業後、米コロンビア大で経営学修士(MBA)を取得。ドイツ証券や新生銀行で企業の資金調達やM&A(企業の合併・買収)についての助言に携わるなど、意外にも金融畑を歩んできた。その後、IT大手のユナイテッドに移り、米国子会社の代表も務めている。
井無田社長は「金融機関出身ですが、大企業に所属していたとき非常に使いづらいシステムがあって不満に思っていました。ですが、いざIT業界に移ってみると、今度はユーザビリティ(使い勝手)の高いサービスを提供するのがいかに難しいか実感しました。作り手と使い手の間にできる溝を埋めたいと思い、テックタッチを創業しました」と振り返る。
SaaS使えない層にとって重要なナビ
使い手に近い現場が主導してシステムを構築するためには、プログラミングコードというハードルを取り払う必要がある。そこでノーコードの開発プラットフォーム「テックタッチ」が誕生したというわけだ。井無田社長は力を込めてこう語る。
「SaaSの流れは止められません。人事や営業部門、基幹システムも含めてあらゆるジャンルでSaaSの利用が加速度的に進んでいくと思っていて、カスタマイズの幅もさらに広がっていくはずです。だからこそ、まだSaaSが使えない層にガイダンスできるナビの存在が重要です。ITエンジニアではない現場の人たちがそういったものをノーコードで作ることができるテックタッチをさまざまな分野で活用してほしいと思っています」