露、ウクライナ全土標的に 支援ルート切断狙う 各地で占領政策 米記者、取材中に死亡

    ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナ西部リビウ州当局は13日、同州の軍事演習施設「平和維持安全保障国際センター」が露軍のミサイル攻撃を受け、35人が死亡、134人が負傷したと発表した。露軍は11日にも西部の飛行場2カ所を空爆。北・東・南の3方面から侵攻を進めてきた露軍は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国ポーランドに近い西部への攻撃も強めている。ロシアはNATO側からの物資支援ルートを断ち、ウクライナを孤立させる狙いだとみられる。

    13日、ウクライナ・イルピンで、歩いて避難する人たち(ロイター=共同)
    13日、ウクライナ・イルピンで、歩いて避難する人たち(ロイター=共同)

    ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、ロシアの侵攻でこれまでに自軍の将兵約1300人が戦死したと初めて発表した。露軍は首都キエフ包囲に向けた動きを継続している。

    同センターでは侵攻前、NATOとウクライナ軍が合同訓練を実施。同国のレズニコフ国防相は「外国人の教官が働いており、死傷者の身元を特定している」と述べた。

    これに先立ち、露外務省のリャプコフ外務次官は12日の国営テレビ番組で「米欧側からウクライナへ供与された兵器の輸送部隊は(露軍の)攻撃対象となる、と米国に警告した」と述べた。

    ロシアは掌握地域の占領政策も進めている、南部ザポロジエ州当局者は13日、ドニプロルドネの市長が露軍に誘拐されたと発表。南部メリトポリでも11日、市長が露軍に誘拐された後、親露派とみられる「新市長」が就任した。ヘルソンの地方議員は12日、露軍が「ヘルソン人民共和国」の設立に向け「住民投票」の実施を準備し、地方議員に協力を呼び掛けているとフェイスブックで明かした。

    また、北部イルピンの警察当局は13日、米国人の男性ジャーナリストが取材中に露軍の攻撃で死亡したと発表。米タイム誌は同日、男性は同誌の業務に従事していたと明らかにした。

    一方、ロシア軍が制圧した南部ザポロジエ原発をめぐり、国際原子力機関(IAEA)は12日、同原発を運営するウクライナ国営企業から「ロシアが原発を接収しようとしている」との報告があったが、ロシア側は否定したと発表。ウクライナメディアによると、露軍の掌握後に停電した北部チェルノブイリ原発は送電設備が復旧し、核燃料の冷却が再び可能になった。

    4回目の停戦交渉に関しては、双方が近日中の実施に意欲を表明している。


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