お客様も多国籍な中東系エアラインは珍事件が多発 酒場と化すギャレー、離陸しない飛行機…

もちろん、英語が通じないことも中東系エアラインでは日常茶飯事。そんなときの常套手段があります。

もはやメニューの名前も、「チキンなのかビーフなのか(chicken or beef ?)」も言わず、ただひたすら「ベジタリアンですか? ノンベジタリアンですか?(vegetarian or non-vegetarian?)」と聞きくのです。

宗教上の理由で特定のお肉を食べられない方もいらっしゃるので、常にメニューにおいては明確でなければなりません。ただ、路線によっては、CAにとっても馴染みのない言語かつ馴染みのないローカルフードでメニューを覚えることすら大変なこともあります。お客様にとっても馴染み深くないと、結局のところ「ベジタリアンか非ベジタリアンか」と伺うのが我々にとってもお客様にとってもわかりやすかったりします。

CA同士でも同僚の名前が覚えられない

国際色豊かなのはお客様だけではありません。中東系エアラインは各国から採用するので、乗務員も多国籍なのです。すると起こるのが、“名前問題”です…。

日帰りの短距離路線ではもちろんのこと、長距離路線でも、フライトが終わるまで名前を覚えられないことも多々あるのです。そこで乗務員同士はたいてい、Habibi(ハビビ)、 Love(ラブ)、Darling(ダーリン)、 Babe(ベイブ)と呼び合います。ハビビとはアラビア語で「最愛の人」という意味です。

お互いに名前を覚えられないことが多いので、私は自分のことを名前で呼ばれるとすごく嬉しいです。

ちなみに超大型機A380だとCAだけで25人が乗務しています。上下階のキャビンで、離陸から着陸まで顔を合わせることすらなかったりします。なので働くキャビンが違うと「あんな子いたっけ?」ということもあります(笑)

季節感がない生活 常夏と真冬を行ったり来たり

年の瀬も迫る12月。私はといえば水着を着てプールサイドにいました。遡ること1週間前は凍えるような寒さの気温マイナス2度のスペインはサラゴサに。われわれ国際線のCAには季節感がありません。

コロナ前は今よりフライトも忙しく、それこそ冬のイギリス・ロンドンから帰ってきたかと思えば休む間もなく常夏のインドネシア・ジャカルタに行き、一旦休日を挟んだら次は冬のフランス・パリ、なんてこともありました。12月でも水着を着てプールで泳いだり、そうかと思えばその数日後には凍える寒さに耐えながらクリスマスマーケットに行ったり。毎日違った四季を楽しんでいます。

われわれ中東系エアラインの「珍事件」や「CAあるある」はまだまだたくさんあるのですが、今回はこの辺で終わりにしようと思います。いかがでしたか? びっくりするようなことはございましたでしょうか? みなさんに楽しんで読んでいただけたら光栄です。

水谷宏子 (みずたに・ひろこ)


青山学院大学卒業後、大手日系航空会社に客室乗務員として就職。その後、香港の航空会社で香港ベースの客室乗務員として2年働いたのち、1年間世界を放浪し、現在の中東系航空会社に就職。現在の会社での乗務歴は3年。

【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。アーカイブはこちら

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