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夢洲整備費、増加の一途 IR候補地 自民が追及

大阪府と大阪市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐり、開会中の市議会で候補地の人工島・夢洲(ゆめしま)(同市此花区)に関するインフラ整備費の課題が改めて浮き彫りとなっている。府市は両議会でIRの事業内容をまとめた区域整備計画案の同意を得て、4月末までに国に申請するが、自民党市議団は反対色を強めている。

自民党大阪市議団がつくったチラシ
自民党大阪市議団がつくったチラシ

「大勢の人が集まるにぎわいの拠点をつくる。所有者として安全で安心な土地を(事業者に)提供するのは当然だ」

大阪市の松井一郎市長は今月14日の市議会委員会で、夢洲で判明した土壌汚染や液状化対策費計約790億円を市が追加負担する妥当性を改めて強調した。

過去に市が埋め立て地の液状化対策費を負担したケースはない。液状化の発生リスクは建物の規模などに左右されるため、対策は施設を建てる事業者が責任を持つというのがこれまでの考え方だからだ。

市の内部資料によると、今回の異例の負担方針は松井氏が主導した。昨年6月の幹部会議で松井氏は、IR事業は臨海部の物流事業と比べて「責任の中身が違う」と主張。政策的な観点を重視し、原則を曲げた。

昭和52年、市の廃棄物や建設残土の処分場として整備が始まった夢洲は、6万人が居住する住宅地開発を目指した計画がバブル崩壊のあおりで頓挫。選手村として活用を見込んだ2008年夏季五輪誘致も惨敗し、巨額を投じた埋め立ては、大阪市による「負の遺産」と揶揄(やゆ)されてきた。

松井氏からすれば、かつての失政が生み出した損失補填(ほてん)のためにも、夢洲の利用こそが〝最善手〟だったともいえる。

ただ、夢洲のインフラ整備費は増加する一方だ。

今年1月には、大阪メトロ中央線の夢洲への延伸で新たに地中障害物の撤

去工事などが必要となり、当初の予定より129億円増えることが明らかになった。

市の2月の見積もりでは、令和11年秋から冬にかけてのIR開業までに必要な整備費の総額は1年前の試算(994億円)から倍増する1929億円に上った。さらなる上振れも否定できない。

府市と中核事業者の米カジノ大手、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが共同で取りまとめ、府市が今議会に提出した計画案では、近畿圏での経済波及効果を年間約1兆1400億円(運営時)と想定している。

府市は納付金などで年間約1060億円の収入を得るとするが、波及効果には新型コロナウイルス禍が与える影響は加味しておらず、自民党市議団は「事業者任せで府市による検証がなく、見通しが甘い」と指摘している。

自民市議団 追及トーン強める

カジノを含む統合型リゾート(IR)実現に邁進(まいしん)する大阪府と大阪市に対し、問題追及のトーンを強める自民党市議団。新聞の折り込みチラシなどを活用して「市民に伝えられていない事実」を積極的に発信し、オンライン上で市民の意識調査も始めた。背景には、来春の統一地方選をにらみ、IR推進派の大阪維新の会との対立軸を明確化しようとの思惑も見え隠れする。

今月10日の新聞朝刊各紙に折り込まれたチラシでは「ここが問題」とし、夢洲の土地改良費約790億円の公金投入や経済波及効果の信憑(しんぴょう)性-などを取り上げた。

夢洲など大阪湾に浮かぶ人工島はもともと廃棄物などが処分され、埋め立て造成された経緯から地中に汚染物質があるのは分かっていた事実だと指摘。だからこそ土地改良費は事業者負担としてきた前提があるのに、市が公金を支出するのはIR事業者の特別扱いだと訴える。

岸田文雄首相(自民党総裁)は14日の参院予算委員会で「観光先進国となる上でIRは重要な取り組みだ」と述べた。だが、ある自民市議は「ここにきて大阪IRには大きな問題点が浮上している。いったん立ち止まって考えるべきだ」と話すなど少なからず党内で温度差がある。

IRを推進する維新は松井一郎前代表が市長を、吉村洋文代表が知事を務め、府市両議会で最大勢力を誇る。松井氏は15日、自民内で一枚岩になっていないとして「同じ政治集団にいながら話をまとめることができない。個利個略だ」と記者団に語った。


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