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社会実装秒読み「自動配送ロボット」 実証実験で早くも“共生社会”の兆し

ロボットが街中で荷物を運ぶ時代が近づいてきた。指定されたコースを自動運転で走行する「自動配送ロボット」の交通ルールが盛り込まれた道路交通法改正案が今国会で成立する見通しとなり、一方で自動配送ロボットの実証実験も各地で最終段階に入るなど、社会実装に向けた動きが着々と進んでいる。東京都心で約5000世帯を対象に行われた実証実験では、早くも若い世代を中心に予想を上回るニーズを獲得している様子も見えてきた。宅配業務での人手不足が深刻化する中、人間とロボットが共生する社会が生まれようとしている。

エネオス、ZMP、エニキャリの3社共同で実証実験中の自動配送ロボット「デリロ」(ZMP提供)
エネオス、ZMP、エニキャリの3社共同で実証実験中の自動配送ロボット「デリロ」(ZMP提供)


「ロボットならでは」の価値

2月下旬、東京都中央区のタワーマンションが林立する勝どき・月島・佃エリアを1台の自動配送ロボットがカタカタと移動していた。ロボットの名前は「DeliRo」(デリロ)。最高速度が早歩きと同じ程度の時速6キロに制限され、ずんぐりとした形に愛らしい表情を浮かべながら走行する様子からはイメージしにくいが、「物流の未来」を担う“すごいロボット”なのだ。

デリロはロボットベンチャーのZMP(東京)が開発した自動走行型の配送ロボット。複数のカメラやセンサーで周囲の通行人を検出して自動で回避したり、障害物手前で安全に停止したりできるほか、声で存在を知らせたり道を譲ってもらうよう「お願い」することもできる。デリロの開発を手掛けるZMPのロボライフ事業部マネージャー・池田慈さん曰く、最大の特徴は「嫌われないデザイン」。豊かな表情と音声で、「人との共生ができるロボットを目指した」という。

デリロが街中を走行していたのは、ZMPと資本提携したエネオス、フードデリバリーサービスを手掛けるエニキャリ(東京)の3社による自動配送ロボットの共同実験。2021年2月に行った技術実証実験に続く、第2弾にして最後の公道実験で、デリバリーサービスの事業採算性を検証していた。

実証実験ではまず、地域の住民らがデリロ専用の注文サイトで料理などをオーダー。エネオスのサービスステーションで待機しているデリロがZMPの遠隔監視の下、自律走行で店舗へと向かい、品物を機体内のケースに入れてもらって注文者の元へ届ける。実験には飲食店やスーパーなど27店舗が参加。協力世帯は5000世帯となっており、自動配送ロボットの実証実験としては国内で最も実用化に近い規模で行われた。

「配達員なら自宅の玄関まで運べるのに対し、デリロはマンションの下までしか行けない。ユーザーにとってそれがどこまでハードルになるかが懸念点だった」というのはENEOSホールディングス未来事業推進部の片山裕太さん。しかし、そんな心配をよそに2台体制のデリロが受注した件数は1カ月で約650件に到達。第1弾からの対象世帯の増加率を上回る件数の伸びを記録した。毎日ほぼフル稼働で、1日に50件の注文を寄せられたときには人力配送の手も借りるなど、台数不足を感じることも少なくなかったという。

注文件数が大幅に増えた理由について、片山さんは対象地区にファミリー層が多く住む勝どきエリアを含めたことが影響しているとみている。利用者の大半が20~40代の若い世代で、子育て世代からは「ロボットに会えたのが嬉しかった」と、ロボットが届ける体験そのものを価値として感じるユーザーも少なくなかったという。

もう一つの利用者特性として浮かび上がったのが、ユーザーの半数以上が既存の人間によるデリバリーサービスを利用していなかったことだ。「深夜の時間帯に人と会わずにロボットから受け取れることが心理的に安心」といった声や、「ロボットだと乱暴に運ばれることもなく、一定の質で受け取れる」といった配送ロボットならではの特性への評価も寄せられていた。

「ロボットによるデリバリーは現状の宅配サービスを低コストのサービスに代替するというだけのものでなく、新たな顧客ニーズを開拓できる可能性があると感じた」という片山さん。「これまでコスト的に成り立たなかった深夜帯の配送等、“ロボットならでは”の価値を模索していきたい」と実用化に向けて意欲を示す。


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