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ロシアのウクライナ侵略が打ち砕いた空想的平和観念 自分の国は自分たちで護る決意を

現行憲法の前文には「日本国民は、恒久の平和を念願し、(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあり、その理念を受けて第9条の交戦権否定、戦力不保持規定が置かれている。同じような決意をした国が他にもあった。ウクライナだ。ウクライナは、ソ連が崩壊した1991年に独立したが、そのときには、領土内に多くの核兵器を保有しており、世界第3位の核保有国だった。

ロシアがウクライナに侵攻し、首都キエフでも攻防が激化する中、キエフの姉妹都市、京都市では抗議集会が開かれ、ウクライナの国旗を手に抱き合う人の姿がみられた(渡辺恭晃撮影)
ロシアがウクライナに侵攻し、首都キエフでも攻防が激化する中、キエフの姉妹都市、京都市では抗議集会が開かれ、ウクライナの国旗を手に抱き合う人の姿がみられた(渡辺恭晃撮影)

■日本国憲法の前文の理念を体現したウクライナ

それを嫌ったロシア、イギリス、アメリカは、ウクライナに対しロシア、イギリス、アメリカの3国が、(1)ウクライナの主権・現行国境を尊重すること、(2)ウクライナの領土保全・政治的独立に対する脅迫または武力行使を行わない義務を有し、自衛その他国連憲章に定める場合を除き、自国のいかなる兵器もウクライナに対し使用しないこと、(3)ウクライナの主権に付随する諸権利の行使に対し経済的強制措置を行わないこと、(4)ウクライナが核兵器が使用される侵略行為の被害国またはそのような侵略の脅威を受ける対象となる場合、国連安全保障理事会に速やかな支援措置を求めること、(5)ウクライナが核保有国と連携して攻撃をしない限り、ウクライナに対し核兵器を使用しないことを約束し、それと引き換えに、ウクライナがその領土内の全ての核兵器を廃絶することを求めた。

ウクライナは、それらの約束が間違いなく履行されるものと信じ、自国領土内の核兵器を全廃することに同意し、1994年、その3カ国との間で、それらの約束を再確認することを内容とするいわゆるブダペスト覚書(正確には「ウクライナの核不拡散条約加盟に関連した安全保障上の覚書」)に調印した。その後、ウクライナは、その覚書に従い、自国領土内の核兵器を全廃した。こうして、ウクライナは自国の安全保障をロシア、イギリス、アメリカの善意に委ねたのである。まさに、日本の現行憲法前文の理念を体現したわけである。

しかし今、ウクライナは、約20万のロシア軍に侵略され、多くの民間人を殺害され、領土を蹂躙(じゅうりん)されている。そればかりか、ロシアから核攻撃の威嚇まで受けている。にもかかわらず、イギリス、アメリカを含むNATO諸国は、ウクライナがNATO加盟国でないことを理由に、直接的な軍事支援を拒否し、武器などの提供という間接支援にとどまっている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATO諸国に対しウクライナ上空を飛行禁止区域にして、ロシアの航空攻撃を止めてほしいと何度も懇願しているが、アメリカ、イギリスなどNATO諸国は頑としてこれに応じない。その上、国連安保理の常任理事会も、攻撃国が拒否権を持つロシアであるため機能不全に陥っている。だが少なくとも、イギリス、アメリカはブダペスト覚書により、ウクライナの安全を保証する責務を負っているはずである。ウクライナ国民にしてみれば、ロシアはもちろんのこと、イギリス、アメリカにも裏切られた心境だろう。


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