宮城、福島で震度6強、「東日本大震災よぎる」 ビルの壁はがれ、観光地も被害

    宮城県と福島県で16日夜に最大震度6強を観測した地震から一夜明けた17日、列車の運行見合わせや、公立小中高校の休校が相次いだ。人が行き交う繁華街などではビルの壁が崩れ、一部の観光地でも被害が出るなど、日常生活に大きな影響が出た。防衛省は福島、宮城両県からの要請を受け、給水支援のため陸上自衛隊を災害派遣した。

    倒壊した福島稲荷神社の約5メートルの石灯篭。昨年2月の地震でも崩れ、秋に復旧したばかりだった=17日、福島市(芹沢伸生撮影)
    倒壊した福島稲荷神社の約5メートルの石灯篭。昨年2月の地震でも崩れ、秋に復旧したばかりだった=17日、福島市(芹沢伸生撮影)

    東北新幹線の那須塩原―盛岡間の上下線や宮城県内の在来線が17日の始発から運転を見合わせたことを受け、JR仙台駅では駅員に運転再開の見込みなどを問い合わせる利用客の姿が見られた。

    在来線の改札の前では、仙台市青葉区の会社から夜勤明けで塩釜市の自宅に帰ろうとしていた男性会社員(44)が「運転再開のめどを少しでも早く知りたいと駅まで来た。16日夜の地震は揺れが大きく、東日本大震災のことが頭をよぎり、身構えた」と話した。在来線の一部は17日午後、運転を再開した。

    新幹線の改札への通路では、この日の朝に新幹線で仙台市から盛岡市に移動しようとした東京都の男性会社員(53)が「地震の影響で盛岡での仕事がキャンセルになった。東京に帰ろうと思うが、新幹線はいつ運転再開するか見通しが立たないため、運転を再開した在来線を利用して帰ることも検討している」と困惑した表情だった。

    一方、JR福島駅では17日朝、「地震の影響により駅舎を閉鎖しております」との張り紙が出され一時、立ち入り禁止に。ガラス越しに見た構内は、改札口周辺が水浸しになっていた。駅の入り口前の歩道ではタイルが盛り上がり、揺れの激しさを物語っていた。

    午前7時前、通勤で福島駅を訪れた福島市内の男性会社員(37)は、ヘルメット姿のJR職員から「運転再開のめどはたっていない」と聞き、驚いた様子。男性は「知らなかった。バスで職場に向かうしかない」と困惑しながら、バス乗り場へ急いだ。

    建物の損壊も目立った。仙台駅に近い旧さくら野百貨店仙台店では、外壁の一部が崩れ落ち、歩行者が避けて歩いていた。福島駅に近い繁華街のビルでは、壁の一部が大きく崩れ道路に散乱。道路は通行止めになり、警官が警戒に当たっていた。このほか、福島市中心部では割れたガラスや崩れたレンガなどが散乱する場所があり、道行く人は不安そうにながめていた。

    福島県相馬市では歩道橋の階段が落ちる被害も確認された。

    休校も相次ぎ、宮城県は17日午前10時時点で、県内28市町の公立小中学校と、特別支援学校を含む計70の県立高校を臨時休校にしたと明らかにした。福島県教育委員会によれば、県内の公立小中高、特別支援学校のうち約半数に当たる351校が臨時休校となった。

    観光地などでも被害が確認されている。

    仙台市青葉区の高台にある仙台城跡で、伊達政宗の騎馬像が傾いた。石垣の一部も崩落、大きな石や土砂が柵をなぎ倒して道路に流入した。仙台城は「青葉城」の名でも知られる観光名所だ。

    福島市宮町の福島稲荷神社では、境内にある高さ約5メートルの石灯籠1基が倒壊した。この石灯籠は昨年2月の福島県沖地震でも崩れ、昨秋に復旧したばかりだった。同神社の関係者は「元通りになったと思ったら、半年でまた倒れてしまいショックだ」と話していた。同神社では、この他に石灯籠3基が倒壊したという。

    各地の被害状況も次第に明らかになっている。宮城県によると、午後3時時点で、死者は2人、重軽症者は計71人に上った。住宅は1棟が半壊し、計80棟の家屋が一部破損した。

    午後4時時点で停電は約400戸。各地で水道管の破裂が相次ぎ、仙台市約2千戸、栗原市約2800戸、涌谷町約5900戸で断水した。

    福島県の午後2時現在のまとめによると、県内で1人が死亡、5人が重傷、61人が軽傷を負った。13市町村計35カ所の避難所に、225世帯275人が避難。約3800戸が停電している。


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