ウクライナ危機、未曽有の難題 FRB「インフレ退治」に急旋回

    【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)が「インフレ退治」の金融引き締め路線に急旋回した。新型コロナウイルス危機をしのぐための事実上のゼロ金利政策を終え、年内に7回の利上げを進める想定を公表。物価高対策を最優先する構えだ。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻で経済の見通しは不透明さを増しており、FRBの金融政策運営に難題を突き付けている。

    米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=米ワシントン(ゲッティ=共同)
    米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=米ワシントン(ゲッティ=共同)

    0・25%の利上げを決めたFRBの16日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、0・5%の利上げを求めた1人の参加者が採決で反対票を投じた。インフレ制御のために急ピッチの利上げが必要だとの危機感がにじみ出る。

    市場の混乱を回避するため、FRBはできるだけ緩やかな政策変更を進めたいのが本音だ。2015年12月からの前回のゼロ金利解除と利上げ局面では、政策金利が2%近くに達するまで約2年半を費やした。

    だが、2月の米消費者物価指数は前年同月に比べ7・9%上昇し、約40年ぶりの伸び率を記録。ウクライナ危機がエネルギーや穀物の価格を押し上げ、物価高騰を長期化させかねない。FRBは利上げ加速を辞さない「タカ派」路線への転換を余儀なくされた形だ。

    利上げは景気を冷ます効果があり、急激な金利引き上げが景気を腰折れさせる恐れがある。パウエル議長は16日、22年も「底堅い経済成長を見込んでいる」と強調した。だが、物価上昇と景気鈍化が同時進行する「スタグフレーション」への警戒感が市場に浮上する中、FRBが一段と難しい舵取りを迫られているのは確かだ。


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