露軍爆撃の劇場から130人救出 なお多数生き埋めか マリウポリ攻防続く 停戦交渉、楽観論遠のく

    ロシアのウクライナ侵攻で、露軍の爆撃により多数の避難住民が生き埋めになったとされる東部マリウポリの劇場について、ウクライナのメディアは17日、劇場から避難住民約130人が救出されたと伝えた。劇場には数百~1千人以上が避難していたとみられるが、露軍の攻撃が救出作業を阻んでいるという。

    ウクライナ・マリウポリの劇場(上)。下はロシア軍空爆後の様子とみられる(ウクライナのクレバ外相のツイッターより、共同)
    ウクライナ・マリウポリの劇場(上)。下はロシア軍空爆後の様子とみられる(ウクライナのクレバ外相のツイッターより、共同)

    ウクライナのメディアによると、劇場の地下室には多数の住民が避難していた。16日の爆撃で建物が崩れ、地下室への入り口ががれきでふさがれた。地下室は無事とみられるが、露軍の攻撃でがれき撤去作業が遅れている。死傷者数はなお不明だという。

    露国防省は劇場への爆撃を否定。マリウポリを拠点とするウクライナ軍の特別部隊「アゾフ連隊」が劇場を爆破したと主張した。

    米英の国防当局が首都キエフ周辺などでの露軍の停滞を指摘する中、露軍はマリウポリに激しい攻撃を続けている。露軍はマリウポリを陥落させ、東部の親露派支配地域と南部クリミア半島を陸路で結ぶ狙いに加え、アゾフ連隊を壊滅させる思惑だとみられる。

    アゾフ連隊は2014年のウクライナ東部紛争の勃発を機に結成された民族主義派の民兵組織「アゾフ大隊」が母体で、後にウクライナ軍に組み込まれた。ロシアは親露派への攻撃を主導してきたとして敵視してきた。日本の公安調査庁はアゾフ大隊を「ネオナチ組織」と認定している。

    一方、欧米メディアが「進展」を伝えた停戦交渉をめぐっては、ウクライナ大統領府長官顧問のポドリャク氏が17日、ツイッターで「交渉は複雑だ。双方の立場は異なる」と指摘。ペスコフ露大統領報道官も同日、「ウクライナ側には妥結への熱意がない」と述べ、双方が早期妥結への楽観的観測を否定した。


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