「第6波」430万人感染 死者9割が70代以上

    新型コロナウイルス対策の蔓延(まんえん)防止等重点措置が21日に全面解除され、感染流行「第6波」は一区切りを迎える見通しとなった。デルタ株からオミクロン株への置き換わりにより、国内の感染者は1月以降、約430万人増加。3カ月足らずで昨年末までの累計約170万人の2・5倍に上った。オミクロン株の重症化率は低下したものの、死者数は高齢者を中心に約8650人に上り、過去の流行を大幅に上回った。

    昨年末まで400人台だった全国の1日当たりの新規感染者数は、年明けから急増。1月15日には2万9505人となり、これまで最多だった第5波の2万5975人(昨年8月20日)を上回り、2月1日に10万2971人となるまで更新を続けた。

    1週間の累計感染者数が前週の12倍を超える日もあり、3倍を超えることがなかった昨年とは比較にならないほど、感染は爆発的に拡大した。クラスター(感染者集団)も過去を大幅に上回り、5人以上のクラスターは1月上旬から3月上旬にかけ、学校や高齢者施設で各2000件超、病院でも約900件発生した。

    50代以下の現役世代では軽症や無症状が多く、大半が自宅で療養を続けた。結果として家庭内感染を防げず、子供への感染拡大で保育所や学校の休園・休校が相次いだほか、濃厚接触者となった保護者らが欠勤を余儀なくされ、社会経済活動の維持が危ぶまれた。

    全国の療養者は2月中旬の時点で約87万人に上ったが、同時期に入院していたのはこのうち約2万5000人で、第5波の最大時(約2万4000人)とほぼ同レベル。各都道府県は第5波よりもコロナ病床を増やしたが、ピーク時の病床使用率は全国で56・9%に及び、病床逼迫(ひっぱく)の目安とされる50%を上回った。

    重症化率は低下し、重症者数はピーク期の2月中・下旬に1500人程度で推移。第5波の約2200人を大幅に下回った。死者数は感染者の急激な増加で底上げされ、2月22日に1日当たりでは過去最多の272人が報告された。死者全体の9割を70代以上が占め、発症後に喉の痛みなどで水分や食事をとれずに衰弱していくケースも目立った。

    治療面では昨年12月以降、軽症者向けの経口薬2種類が実用化された。入院や死亡リスクの低減が30%と低かったり、一緒に服用できない薬が多数あったりと、治療の選択肢は増えたものの、切り札とはなっていない。


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