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「マーケティング」を一言で表すと? 元トヨタの敏腕マーケターに考え方を聞いた

国際情勢や社会の在り方が大きく変動する中、企業がマーケティングの重要性を再認識している。フリーランスマーケターのマッチングを手がける人材サービスでは、外部のマーケターを獲得したいといった問い合わせが急増。事業の見直しや新しい分野への進出のための戦略構築にマーケティングを役立てようという潮流があるという。というのも、日本ではマーケティングがどういった活動なのかが十分に理解されておらず、実は企業内でもマーケティングへの意識が高い人材は希少らしい。トヨタ自動車グループや星野リゾートグループで約9年間のキャリアを積み、独立後もフリーランスとして10年近い経験がある敏腕マーケター、熨斗大樹(のしひろき)さん=37=に基本的な考え方を教えてもらった。

企業の方向性を決めるため、外部のマーケターの力を借りるケースが増えているという(Getty Image)※画像はイメージです
企業の方向性を決めるため、外部のマーケターの力を借りるケースが増えているという(Getty Image)※画像はイメージです

■外部のマーケターに高まる関心

《ここ数年、世界を揺るがす出来事が相次いでいる。新型コロナウイルス禍は世界の人の流れを止めた。ロシアによるウクライナ侵攻は各国の安全保障を揺るがし、原油や小麦など資源の流れを止めようとしている。こうした中、企業のマーケティングへの関心が高まっているというが、熨斗さんのような現場で働くマーケターの実感はどうなのか》

ーーマーケティングへの需要は高まっていると思いますか

「これは体感ですけど、コロナ禍以降、私のような企業に所属しないフリーランスのマーケターへの問い合わせは増えています。一部上場企業の新規プロジェクトから、すでに存在する商品やサービスを強化したいというケースまで、さまざまです。企業側の需要は高まっていると思います」

ーー企業であればマーケティングは自前でやるものだと思っていました

「マーケティングで外部の力を借りるというのは以前から一部の企業ではありましたが、最近さらに高まってきた流れだと感じています。実はマーケティングができていない企業は世の中にたくさん存在していて、中小企業だけでなく代理店に任せっきりだった大企業まで、企業が時代や経済環境が変わる中で『ちゃんとやらないと』という意識を持つようになったのではないでしょうか。マーケティングが強くない会社では、『マーケティングは誰がやるんだっけ?』とか『誰が戦略や企画を考えるんだっけ?』といった状況もあります。優秀な人がいても、新しいことをやるための気質や文化、組織体制が定着していないというイメージですね」

《外部のマーケターを獲得しようという関心の高まりは体感だけではなく、データにも現れている。企業の採用を支援するHajimari(ハジマリ、東京都渋谷区)が手掛ける、即戦力マーケターと企業をマッチングさせるサービス「マーケティングプロパートナーズ」では、2月の企業からの問い合わせ件数は昨年4月に比べて約6倍も伸びたという》

■「誰に何をどう届けるか」を考える

ーーマーケティングを一言で説明すると、どうなりますか

「個人的には、誰に何をどう届けるかを考えること、だと思っています」

ーーシンプルですね

「シンプルですが、意味は広いです。マーケティングを実務でやっている人の間でも、マーケティングという言葉はいろんな意味合いで使われています。一般の方だと、マーケティングといわれても具体的なイメージを持ちづらいのも仕方ないかなと思います」

ーーマーケティングのプロセスでは、まず何をするわけですか

「誰に製品や情報として価値を伝えたいのかを明確にすることですね。マーケティングに携わる人の中では、『ターゲティング』という言葉を使います。もしも届けたい価値があったとしたら、その価値を一番感じてくれる、欲してくれるのは、どこの誰なのかをはっきりさせることです」

ーーターゲットを絞るためにはどんな手法をとるんですか

「よくある進め方としては市場調査でニーズをつかむこと、もしくは既存の商品サービスが持っている価値からターゲットを発掘することがあります。例えば実際に街角で道行く人の声を聞くということもあり得ますが、市場調査専門の会社もたくさんあります。インターネット関連会社などの多くの会員を抱えている企業がユーザーに調査を行ってくれたりもします。日常使っているサービスの運営企業から時々、『アンケートにご協力ください』というメールが届いたりしますが、あれが市場調査。何歳の女性にはこういうニーズがあるといったことが分かる。今は、ウェブサイトの検索キーワードを分析することもあります。先にターゲットのニーズをつかんで、それにあった製品やサービスを提供する『マーケットイン』という流れです」

■どんな会社にも可能性がある

《まずはニーズを把握することが肝要なようだ。でも、自社の製品やサービスとターゲットのニーズが一致していないことが分かってしまったら困るのではないか》

ーー例えば、日本の中小企業などで「親父の代から作ってきた製品が売れなくなった」という悩みもあると思います。どうすればいいでしょう

「すでに提供したい製品やサービスがある場合は、まずはその既存の商品やサービスが持っている価値を軸として『プロダクトアウト』という道筋をたどります。製品やサービスの価値をどうやって伝えていくかを考えるわけです。提供できる価値を見直して、新しい形で適切なターゲットに売っていくということも考えます」


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