政府・与党が22日の令和4年度予算案成立後、10兆円を超える規模の追加経済対策の編成に乗り出すことが21日、分かった。ロシアのウクライナ侵攻で原油や穀物などの価格が高騰し国民生活が影響を受けており、ガソリンなど燃料価格の高騰を抑える補助金の延長や食料品の価格抑制、業績が悪化した中小企業の支援策などを講じる方針。夏の参院選をにらみ日本経済の下支えをアピールする。
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政府は燃料高騰対策として、石油元売り各社に1リットル当たり25円を上限に補助金を支給している。3月末までの時限措置で3年度補正予算と3年度予備費から約4500億円を確保した。
ただ、ウクライナ危機による原油高で、補助額は今月17日から上限の25円に達した。侵攻は現在も続いており、日米欧の制裁強化で原油価格の先高観は強い。4月以降も同様の支援を継続する場合、期間にもよるが数千億~数兆円の財源確保が必要となりそうだ。
ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の凍結解除も検討するが、発動には税制関連の法改正が必要で時間がかかる。支援を途切れさせないため、まずは補助金で対応する考え。
また、食料自給率の低さから大半を輸入に頼る小麦など食料品の価格も高騰している。経済対策では家計負担を軽減するため補助金などの仕組みも検討する。
燃料や原材料価格の急騰が経営を直撃している中小企業の支援策も検討する。政府系金融機関などによる融資や利子補給などで数兆円が必要とも指摘される。4月から受給額が減る年金受給者らに、1回限りで1人5千円を給付する負担軽減策も盛り込む方向だ。
新型コロナウイルス禍の長期化で、日本経済の需要と潜在的な供給力の差を示す需給ギャップは足元で20兆円程度あるとされる。自民・公明両党との距離を縮める国民民主党の玉木雄一郎代表は、これまでに10兆~20兆円規模の大型対策を求めており、与党内でも「一つの目安」と前向きな声が出ている。4年度予算案の成立を受けて編成作業を本格化し、4月中の閣議決定を目指す見通しだ。