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「人権制限」「全体主義」…政府、露体制批判強める

ウクライナ侵攻を続けるロシアをめぐり、人権抑圧などロシアの国内体制に対する批判が日本政府内で強まっている。軍事力で隣国に攻め入るという「力の政治」だけではなく、「理念の政治」でもロシアを問題視する形だ。権威主義国家として中国と同一視する声も広がっており、権力闘争とイデオロギーの両面で東西両陣営が対立した冷戦時代のトーンが色濃くなっている。

閣議に臨む林芳正外務相(左)と岸田文雄首相=1日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)
閣議に臨む林芳正外務相(左)と岸田文雄首相=1日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

「ロシア国内における抗議デモに厳しい取り締まりが行われている。こうした締め付けはロシア政府によるウクライナ侵略の継続と密接に関係している」

林芳正外相は18日の記者会見でこう述べた。小野日子(ひかりこ)外務報道官も16日の記者会見で「ウクライナ侵略はロシア国内での言論統制など人権への厳しい制限によっても支えられている」と非難した。外務省内には「ロシアは中国と同じ全体主義国家だ。この戦いに勝たなければならない」(幹部)と敵視する声もある。

政府はウクライナ侵攻を受け、プーチン大統領の個人資産凍結を含む経済制裁を実施。北方領土返還に向けた平和条約締結交渉に関しても「展望について申し上げる状況にはない」(岸田文雄首相)として、棚上げする姿勢を示してきた。

強硬姿勢をとる背景にあるのは、ウクライナ侵攻が国際秩序を揺るがすものであり、日本の安全保障に直結するという問題意識だ。首相が繰り返し「ロシアに強い制裁を科すことで国際法違反の暴挙には代償が伴うことを示す」と強調するのは、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)や台湾に対して武力行使を行うことを抑止する狙いもある。

林氏らの発言は、こうした安全保障上の脅威がロシアの政治体制に根ざしているとの認識を示すものだ。ウクライナが核兵器を放棄する代わりに英米露が安全を保障するとした1994年のブダペスト覚書をロシアが無視した背景について、外務省幹部は「権威主義国家は約束を守らない。国民のチェックを受けないからだ」と断じ、香港返還時の「一国二制度」の約束をほごにした中国を同列に位置づける。

日本政府はこれまで、人権侵害を理由とした経済制裁は行ってこなかった。一連の対露制裁に関してもロシア国内の人権状況は制裁理由に含まれていない。それでもロシアの体制批判を強める背景について、政府高官は「国際平和と安全を脅かす人権侵害は、より一層重大にとらえる必要がある」と説明する。(杉本康士)


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