• 日経平均26906.11-95.41
  • ドル円127.65127.68

中高年の街は客足戻らず 観光地、近場は好調

令和4年の公示地価は新型コロナウイルス禍からの回復の兆しを見せたが、商業地は明暗が分かれた。全用途で上昇した東京都でも、商業地では千代田、中央、港の都心3区は人流が戻らず、下落を継続した。観光地もアクセスのいい近場は上昇しており、インバウンド(訪日外国人客)の蒸発による客数減や、移動を控える高齢者層の消費減退というコロナ禍の影響の残り具合が結果を左右した。

「銀座は人出があって一見コロナ禍前に近く見えるかもしれないが、実際のところは疑問だ」。東京・銀座(中央区)で鉄板焼き店を営む50代の経営者はため息をつく。夜の平均客単価は1万円前後で、客層も裕福な中高年層が中心だ。3割が和牛目的の訪日客で、昨年の売り上げはコロナ禍前の6割にとどまった。

都内の商業地は下落率が大きい順に、中央1・3%、千代田1・2%、港0・3%-と都心に集中し、住宅地が供給不足を背景に上昇したのとは対照的な結果だった。物販や飲食店での収益の回復遅れや、在宅勤務浸透によるオフィス市場の先行き不透明感から下落が継続した。

他方で、繁華街を抱えていても品川区は0・8%、新宿区は0・5%、渋谷区は0・1%-と上昇へ転じている。三井住友トラスト基礎研究所の坂本雅昭投資調査第2部長は、「移動が活発な若者やIT関連企業が集まる地区だ。商業地の明暗は来街者の層の違いが表れた結果」と指摘する。

観光地に目を向けても同様の構図が生じている。

首都圏からアクセスのよさで人気の熱海(静岡県)は上昇が継続。熱海市観光協会の担当者は「客のほとんどは首都圏から来る。その意味で戻りは早かった」と話す。東京・浅草(台東区)も若い国内客需要で前年の下落から上昇に転じた。軽井沢(長野県)はコロナ禍で富裕層の移住人気も高まり、観光需要は底堅く、住宅地・商業地ともに上昇継続だ。プリンスホテルによると、足元の客室稼働率は首都圏と比べ2倍近くと堅調に推移。1室2泊70万円~の宿泊プランも好調で、今年のゴールデンウイークも予約で埋まった。

一方、下落が継続した岐阜県高山市の担当者は「インバウンドの消失は大きい」と打ち明ける。自然と古い街並みで人気の観光地はコロナ前の観光客の3割以上が訪日客だったが、国内客の足取りは鈍く、コロナ前とは程遠い状況だ。国土交通省の担当者は「遠出を控えざるを得ず、近場の旅行に需要が集中したことで、首都圏からアクセスのいいエリアに集中した」と話している。

(飯嶋彩希)


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)