映画館に行く人は2割、熱量の低下懸念 爆音・応援などの特殊上映には需要

    映画館で昨年、映画を1本以上鑑賞した人が2割にとどまったことが分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で対策を迫られた2020年から、さらに落ち込んだ。背景には、定額制インターネット動画配信サービスが浸透したことがあるとみられるが、特殊な上映形式の需要は高まっているという。

    1席空けて鑑賞券を販売した東京都武蔵野市の「アップリンク吉祥寺」=2020年6月1日
    1席空けて鑑賞券を販売した東京都武蔵野市の「アップリンク吉祥寺」=2020年6月1日

    エンターテインメントビジネスの調査などを手掛けるGEM Partners(ジェムパートナーズ)によると、21年に映画館で映画を見た「映画劇場鑑賞者」の割合は20.6%だった。コロナ禍以前の17~19年は30%台前半を維持していた。

    感染症対策で映画館や劇場の入場人数を制限するよう政府が求めたことなどから、20年は23.5%にまで落ち込んでいたが、21年はさらに減少したことになる。

    同社が映画劇場鑑賞者を対象に、映画館と有料ネット配信サービスの利用頻度の変化についてアンケートを行うと、コロナ流行前と後で映画館に行く機会が増えたのは8.0%、減ったのは37.8%だった。

    定額制の有料ネット配信の利用機会は「コロナ禍前より増えた」が27.7%、「減った」が5.1%で、映画館とはほとんど逆の結果になった。Netflixなどの定額制サービスの浸透が背景にあるとみられる。ひと作品ごとにレンタルしたり、購入したりするネット配信サービスについても利用頻度が増えていた。

    また、映画館で映画を見たい理由について同社が複数回答で聞いたところ、「大画面・高画質で鑑賞できる」「非日常が味わえる」「集中できる」などの回答が多かった。しかし昨年と比べると、上位に入った回答を含めてポジティブな意見が全体的に低調になっており、同社は「熱量が全体的に低下していることが懸念される」とした。

    一方で立体視や、映像に合わせてシートが動く「MX4D」など特殊な上映形式を理由に挙げる人は前年を上回った。上映中に声を出すことが認められている「応援上映」、通常よりも大きな音で上映する「爆音上映」といったイベント型の上映形式の需要も前年から増加している。

    調査は全国の15~69歳の男女を対象に、1月22日から23日にかけて行われた。


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