英政府、偽ウクライナ首相電話「ロシア政府に責任」

    【ロンドン=板東和正】英国の首相報道官は21日、ウクライナの首相になりすました人物が英閣僚にビデオ電話をかけた問題を受け、「ロシア政府に責任がある」と正式に認めた。他の閣僚も標的にされる恐れがあるとの懸念を示し、対応策を講じていると明らかにした。英BBC放送などが報じた。

    問題をめぐっては、英国のウォレス国防相が今月17日、自身のツイッターで「ウクライナ首相を装った人物が私と話そうと試みた」と述べ、なりすましのビデオ電話が仕組まれたと発表した。

    BBCなどによると、ビデオ電話は在英ウクライナ大使館を装う電子メールが届き、設定された。ウォレス氏は通話開始後10分ほどして不審に思い、通話を打ち切った。英国が黒海に艦船を派遣する意向があるかやウクライナは核兵器を持つべきかどうかなどウクライナ情勢に絡む質問を受けたもようだ。

    パテル英内相も同様の被害を最近受けたという。

    英首相報道官は21日、記者団に対し、一連の電話に関してロシアの関与があったと断定した上で「ロシアの情報戦において標準的なやり方だ」と非難した。ロシア政府が関与した詳細な証拠は示さなかった。

    セキュリティーの英専門家は、ロシア側は偽のビデオ電話により、英政府の機密情報を獲得しようとしたとみている。また、英紙デーリー・メールなどによると、英政府高官は、ロシア側が通話で得た映像や声を加工し、ウォレス氏らの偽動画を拡散させる恐れもあると警戒している。

    BBCの情報では、何者かになりすました電話が閣僚にかかってきた例は今回が初めてではない。BBCは外交筋の話として、2018年に当時、外相だったジョンソン首相宛にアルメニア首相になりすました電話があった。ロシアが関与したとみられている。


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